第一部 学園都市篇
第2章 幻想御手事件
22.Jury・Night:『Howler in the Dark』T
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・》らないのか。何故、人家一つ、店の一つも開いていないのか。
否、理由ならもう、気付いている。これは――――これはそう、単純な話。
「はあ、はっ――――あっ!?」
瞬間――――踏みそうになった『それ』を避ける為に、無理な踏み込みをして転んでしまう。前のめりに、辛うじて『それ』は避けて。代償は、掌と膝の擦過傷。
「うっ……く」
涙が滲む。その痛みと、理不尽に。まだ、分からない。まだ、理解できない。
また、少し。また、一歩。確実に、その距離をもう、広げる事無く背後から迫ってくる『ソレ』に――――何故、追われなければいけないのか。
「っ……誰か――――誰か……!」
だから、立つ。だから、走る。終わりなど見えない、この闇夜を。嘲笑する、『背後の闇』と『足元の音』を。
「先……輩――――」
そして――――――――夜空、切り取るように浮かぶ、狂い笑う黄金の月と……『虚空の瞳』に見詰められて。
………………
…………
……
ふと、何故か虚空を仰ぐ。誰か、誰かに呼ばれた気がして。窓の外、夜空、切り取るように浮かぶ、狂い笑う黄金の月を。
だが、その眼差しはこちらを向いていない。そう、いつもみたいに、彼を嘲笑うものではない。誰か、別の……他の、何かを。
「ちょっと、聞いてんの、宿木?」
『――――勿論だニャアゴ、フレンダちゃん』
意識を、『ダァク・ブラザァフッヅ。』の席に陣取ったフレンダと最愛に戻す。耳元を掻いて。猫のように。
因みに、マスターは何時も通り。『約束通り』に連れ合いを伴ってきた彼に、何時も通りにニヒルな笑顔で……『では、ご注文をどうぞ、コウジくん』と。闇に生きる彼には、この集まりがどういうものかぐらい――――来る前から、お見通しだったのだろう。
「どーだか。じゃあ、さっき言った事を説明してみろって訳よ」
『お安いご用だニャアゴ』
そこで、彼は台の上の書類を一枚手に取る。そこには――――一人の男性。大学生くらいだろうか、目付きの鋭い眼鏡、オールバックの。
『能力名:表層融解 強度:4』と記された、暗部の機密文書。
『この男が外部に学園都市の能力開発実験情報のリークを企んでるから拘束しろ、最悪の場合は消せって指示が出たニャア。ただし、向こうもそれなりの能力者だから、気を引き締めて掛かるナ〜ゴ』
「うっ……む、むっかつく〜……!」
語尾以外は、一言一句違わず
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