SAO編
踏みしめた大地
[2/2]
[9]前 最初 [2]次話
、薄く影が落とされていてどこか不気味だ。少なくとも夜にはあまり来たくないと思うようなその道の奥には、暗くてよく分からないが、なんだか小さな看板が掲げられているようにも見える。結構な距離があるのか、視力に自信のある俺でも文字は良く見えない。
「あ、これゲームだから視力関係ねーか」
まぁ、なにはともあれこんな面白そうな場所を放っておくなんて選択肢はない。冷やかしついでに覗いてやろうじゃないかと、駆け足でその看板を目指す。けれど途中で感じたどん、という衝撃に「またかよ!」なんて叫びがこだました。
「え?あーっと、すみません」
「あ?なんだこのちっこいの」
同じタイミングで返ってきた二つの声に、思わず後ずさる。ぼんやりと暗闇の中に浮かぶふたつ分のシルエットの迫力は満点だ。
「わりぃな!今ちょっとテンション上がっちまってて!」
「あ……ひょっとしてオメェ、ベータテスターか?」
「ん?なんだそれ」
「初心者か……」
赤いほうのイケメンの言葉に首を傾げると、紺色のほうのイケメンが少し考えるように腕を組んだ。
「てか、ベータテスターじゃねぇんならなんでこんなとこに居るんだ?」
「ちょっと人ごみに弾き出されちゃってな。お前らは?」
「俺たちは、ほら。この先の武器屋に……」
「武器屋!?」
紺色のほうの言葉に大げさに反応すると、びくりと二人とも驚いたように肩を震わせる。若干声がデカくなっていた自覚はあるので、意識して声のトーンを落とした。
「実は俺、こういうオンラインゲームって初めてでさ。色々教えてくれないか?」
「あ、ああ……じゃあ、武器屋行く?」
戸惑いながらも頷いてくれた二人に、優しいな、と思ったことを告げると少し照れくさそうに笑われる。
「サンキュ!俺はポート。よろしくな!」
差し出した手をキリトとクラインと名乗った二人は、しっかりと握り返してくれた
互いに簡単な自己紹介をしながら武器屋へ向かう俺たちは、数時間後にシステムウィンドウからログアウトボタンが消失していることに気づき、デスゲームの始まりを宣告される事など知るはずもなかった。
[9]前 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ