俺馴? 外伝2-2 [R-15?]
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いことを嘆くかのようだった。――俺がいりこに「恐怖」にも似た危機感を覚えている事に気付いているのかは分からない。分からないが、その目は全てを見透かしているようで。
「そう。そっか、そうなんだ。やっぱりまだ足りないんだね。分かってるよ?大丈夫……」
「それは、誰にとっての大丈夫だ。俺か、お前か、それともお前の中の俺か?」
お前が見ているのは、本当に俺なのか。それともお前が勝手に作り出した俺の像に、現実を引き寄せようとしてるんじゃないのか。心底、違うと言ってほしい。今からでいい、実はからかってましたと飾り気のない笑みでピースサインを出してくれ。それなら俺は受け入れられる、理解が出来る。
いりこ、ああ、今わかった事がある。
俺はお前を俺の知っている田楽入子だと信じたくない。
お前をそんな存在だと信じたくなくて、そのくせお前を引き剥がせない。
本当の事を知るのが怖いような――目の前のこの姿が俺の認めたくなかった真実?
それが俺の記憶を、足場を、どんどん不確かなものへと変えてゆく。
いりこは目を逸らしたいほど真っ直ぐに俺を見た。瞬き一つしない眼光で、まるで眼球に映る俺の像を捉えようとするかのような、深い、何か。本当に俺の心を見透かしたうえで言っているような確信に満ちた声。
「――さざめくんなら……私を受け入れてくれるよね……?」
お前は俺を求めている?それほどに、俺以外に何も見えなくなるほど盲信的に、何を求める。俺の記憶の中のいりこは、これほど強く俺を求めることなど――いや、俺は自分の感覚に躊躇いを覚えなかった筈なんだ。
なぁ、いりこ。なんでお前は俺にそんな顔を見せる。くすくすと笑って、俺にそれを聞かせる。お前の言葉が一々頭にこびり付くんだ。俺の感性と記憶が分離していくんだ。
「こんな私でも、嫌いにならないでいてくれるよね、だって優しいもん。素直じゃなくても優しいもん」
やめろ。
「そんな優しさを持っているさざめくんだから――」
なんでお前は、俺の信じる「日常」を突き放すように、俺なんかを求めている。
「――私は、全てを捧げたんだよぉ?」
俺をおかしくしているのは、お前なのか?
= =
さざめくんの指が、入ってくる。私の口の中に。
ほんの浅い所でしかないのに、これほどに心臓がざわめく。
駄目だよ、ばっちいよ。そう伝えたけど、「大人しく面倒みられろ」の一言に私はあっさりと屈服した。その言葉が秘める魅力に勝つことが出来ずに、彼に尻尾を振った。さざめくんは不器用だから、いつも私にちゃんと向き合って世話を焼いてくれることは滅多にないのだ。
さざめくんの不調に気付けなかった私は、浮かれ気分でいた自分を呪った。浅はかで愚かしい女、自分んの
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