志乃「兄貴を道連れにする」
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ろ。入学二日目から遅刻するとか、だいぶ目立つじゃねえか」
俺は一度退学してるんだから教師陣から余計に見られるだろうな。それに……。
「だいぶ、っていうよりすでに目立ってるよね」
そんな志乃の呟きに少しだけ胸が痛くなるものの、俺は歩くのを止めない。運動不足な志乃のために猛ダッシュしないだけありがたいと思ってほしい。
やがて藤崎高校の正門が見えてくる。比較的住宅が密集しているこの地域に高校があるとやっぱり目立つな。
正門にはすでに委員会や生徒指導の教師はおらず、くぐった先には朝練を終えたと思しき生徒がグラウンド側にちらほら見え、彼らもダッシュで校舎に向かっている。やっぱ走らなきゃダメか?
「志乃、走れる?」
「三分間だけ」
「ム●カか!」
いつものやり取りを高速で終えて、俺達は校舎目掛けて走り出す。
その時、俺は志乃と自然な会話を交わす事が出来ている事に気付いた。
だが、それでも現実は常に前に進んでいる。人間が普段後ろを向いて歩く事が無いのと同じように。
さぁ、憂鬱な学校生活の始まりだ。
気分の晴れない俺を慰めてくれるように、春のすっきりした陽気が一帯を吹き抜ける。
……俺、花粉症なんだけどね。
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