志乃「私は大丈夫」
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ら、『突然停電が発生し運営中止。中にいる客は受付付近に集合して待機。電力復旧までは利用不可』。これらをネットや電力会社などに報告、拡散し、犯行猶予時間を作りだしていたのだ。警察が気付いたのは、カラオケ店から聞こえた発砲音を、偶然付近に居合わせていたパトロール中の警官が効いたからである。
そこからは怒涛の警察フィーバーだったと、川島さんは得意げに話していた。
実際、俺を狙った発砲は空発に終わり(ここで俺は気絶したらしい)、俺含め客の全員は無傷で店内を出る事が出来た。その情報に俺は深い安堵の息を吐いた。良かった、五十嵐も無事だったんだな。
「けど、あいつらがどうやって拳銃なんかを入手したんだかがまだ分からなくてね、それについては俺達がなんとかするよ」
当たり前だ。これ以上面倒事になったら堪ったもんじゃない。学校中の噂になっちまう。いや、もしかしたら五十嵐の奴が喋るかも。だとしたら本気で学校行きたくないなぁ。
「あ、そうそう。店内にいた客の人達が、君が犯人の何人かを倒したって言ってたんだけど、それは本当の話?」
あー、この話大半喋ったの五十嵐だな。あいつのテンションからして、多分話に尾ひれが付くような事も言ったかもしれない。
「えっと、確かに刺又使って牽制はしましたけど、そんな大それた事はしてないっすよ」
笑いながら、いや本当に笑えてるか不安だけど、俺はそう答えた。とりあえず家に帰してくれ。今は休みたい。ちょっとうんざりした顔を見せてみる。
だが、川島さんは俺の態度に気付く様子は無い。この人鈍いな。
「やっぱり君か!多分、感謝状貰う事になるかもしれないな。さっき先輩が言ってた」
「そうですか……」
その後、川島さんは事件の後始末で苦労した事を愚痴ったり、俺の実力について聞いたりして長い時間話した。正直、帰れるなら帰りたかった。
「まぁ、今日は本当にありがとう。君のおかげで被害はゼロだったよ」
その川島さんの言葉に、俺は思わずこう言ってこの場を後にした。
「俺は、妹のために動いただけですから」
*****
帰り道。
川島さんは保護者が必要だと言ったが、俺の家がすぐ近くである事を説明したら、「俺からは保護者が来たようにしとくから」と言って帰してくれた。あの人、本当に刑事やってて大丈夫なのか?
俺は隣を歩く妹をチラッと見る。表情をやっと見る事が出来たが、その顔は曇っていた。やっぱ、あの事引きずってんのか。
「どうした志乃。もしかしてちょっとビビってたとか」
俺が軽くからかってやったのだが、応答する素振りを見せない。おい、こっちが空しいだけだろうが。
「それとも、さっきの事まだ」
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