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万華鏡
第八十一話 寮生活その五

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「それじゃあね次はね」
「サウナですか」
「そこですか」
「いや、サウナの前にね」
 別に行く場所があるというのだ。
「水風呂入ってね」
「そこで身体を冷やして、ですか」
「それからですか」
「そう、サウナに入りましょう」
 それからだというのだ。
「それでたっぷりと汗をかいてね」
「サウナでも身体をほぐすんですね」
「つまりは」
「そうよ、ついでに身体の中の毒素も出すから」
 汗をかくことによって、というのだ。
「いいわね」
「はい、わかりました」
「それじゃあ」
「ええ、まずは水風呂よ」
 五人にこう言って湯舟この浴室の中で最も大きな浴槽から立ち上がった。しかしここで五人はうの先輩のその胸を見てだった。
 意外といった顔でだ、その先輩に湯舟の中で言った。
「何か宇野先輩も」
「そうよね」
「高見先輩は知ってたけれど」
「合宿の時にも見たし」
 浴衣姿の先輩をだ、あの酔って胸をはだけさせていた。
「けれど宇野先輩もね」
「案外ね」
「胸あるのね」
「小柄なのにね」
「胸もあるなんて」
「いいわよね」
「ああ、胸ね」
 当の先輩もだ、言われて気付いた様にして言ってきた。
「そういえば私結構胸あるかもね」
「そうですよ、どう見ても」
「先輩胸ありますよ」
「それも結構」
「普通にあるって言える位に」
「自慢していい位ですよ」
「胸のことは誰にも言われなかったから」
 だからだというのだった。
「大きいとか小さいかね」
「そうなんですか?」
「誰にも言われなかったんですか」
「今あんた達に言われたのがはじめてよ」
 こう答えるのだった。
「本当にね」
「彩夏ちゃん位にあるんじゃないですか?」
 美優は彩夏のその胸を見てからまた先輩の胸を見て言った、アングル的に言って完全に見上げる感じになっている。
「それ位は」
「それ位はないでしょ」
「いえ、背と考えますと」
 サイズ的にはというのだ。
「それ位ありますよ」
「ううん、そうは思わないけれどね」
「そうですか」
「私としてはね。けれど大きい胸って」
 どうかとだ、先輩は五人を水風呂に案内しながら話す。そうして水風呂に六人で入ってからこう言うのだった。
「そんなに羨ましい?」
「ううん、私も」
「私もです」
「やっぱり私も」
「あたしもです」
 琴乃、里香、景子、美優だった。彩夏以外の四人が言った。
「欲しいです」
「もう少しだけでも」
「あとちょっとでいいですけれど」
「欲しいです」
「あんた達ない訳じゃないじゃない」
 四人共、と言う先輩だった。
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