第二十話 出発前夜
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「そんな事があったんだ……」
ビアンカがアベルの話を聞き、そう呟いた。ビアンカが聞いているのはアベルの少年時代の冒険とアベルと私(とスラリんちゃん魔物たち)の冒険のことだった。
「ゲレゲレも久しぶりね」
「ぐるぅ〜ん」
ゲレゲレはビアンカに撫でられてとても気持ちよさそうだった。(その証拠にゲレゲレの顔がすっごいだらけてる。)
「確か、ミレイさんだったけ。アベルを今まで助けてくれてありがとう」
「いや、ミレイでいいよビアンカ。それにアベルには色々助けられたし」
この時ビアンカは私の発言を聞いたとき(色々助けられたってことはアベルとミレイさんはやっぱり……?)と思っていた。(後のビアンカ本人談)
「それで、山奥の村には何しに?」
「滝の洞窟に行きたいから、水門を開けてもらおうって思ったんだ」
ビアンカと再会できるとは夢にも思わなかったけど。とアベルが言った。
「わかったけど……今はもう遅いし出発は明日にしたら?」
ビアンカの言うとおり空は燃えるような赤から群青へと色を変えつつあった。
「それに家に泊まったら?」
「いいのかい?」
アベルが聞いた。
「もちろんよ」
とビアンカは笑顔で言った。
*
「おいしかったな、料理。さすが宿屋の娘。料理が(二つの意味で)うまい!」
私はそういいながら温泉へとむかっていた。
食事を終えたあとビアンカに「温泉に入ったら?この村の名物は温泉なのよ」といわれ、私は温泉に入ることを決めたわけだ。
「ここか」
私は温泉につくと、(ご丁寧にある)脱衣所で服を脱ぎ、全裸になったところで入浴用のローブを身にまとった。(どうやらこの世界では入浴するときはバスローブ的なものを羽織るらしい。)
私は乳白色の温泉に身を浸す。
「ああ、気持ちいい」
どうやらこの温泉は虫刺され、肩こり、冷え性、やけどに効能があるそうだ。
温泉など入るのが小学2年生のころ、お母さんにつれてってもらった温泉街以来なので気持ちいいと同時に懐かしい感じがした。
私が前世の記憶を思い浮かべながら温泉を堪能しているとビアンカが入ってきた。
「あ、ビアンカ。ここの温泉すっごく気持ちいいよ」
しかしビアンカは答えず私の顔をじっと見た。な、何でしょうか。
「ねぇ、ミレイ。あなたってアベルとどんな関係なの?」
それを聞いちゃいましたか。
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