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水の国の王は転生者
第九十六話 それぞれの野心
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あったというものです」

「ゲルマニアの反乱軍とも不可侵条約が締結できた。東ゲルマニア方面は新皇帝が率いるゲルマニアと、ブランデルブルクのゲルマニア反乱軍、そしてポラン王国の三つ巴の形になったな」

「御意、ゲルマニア反乱軍とポラン王国が不可侵条約を結んだ事で、反乱軍は後方の心配をせずに済みますし、ポラン王国も産業育成の時間が稼ぐことが出来ます」

「しかしブランデルブルク辺境伯、良くポランと不可侵条約を結ぶ気になったな」

 マクシミリアンは呟く。
 『狂犬』という二文字がピッタリなブランデルブルク辺境伯の存在が、同盟締結の最大の障害と思っていただけに、マクシミリアンはどうも信じられなかった。

「彼の人となりを知れば、それ程不思議な事ではありません。彼にとって皇帝の玉座こそ目的であって、それ以外は眼中にありません。玉座のためならエルフとも盟を結びかねません」

「ふうん。単純だが目的のためなら手段を選ばない無い男……と評価してもいいのか?」

「よろしいと思います。ただ、ゲルマニア騎士団には注意が必要です。連中は飼い主ほど解りやすい者ではありません」

「そうか、騎士団の調査はクーペら諜報団に任せよう。反乱軍の事は置いておいて、ポラン王国の方はどうだ?」

「数百ある諸部族を纏めるのに、かなりの時間を食うと思われましたが、何とか一つに纏める事ができました。何でも陛下が考案なされた『共和制』という政体を参考にして、ポラン貴族が入れ札(投票)で王を決めたとか……」

「バラバラだった諸部族を一つに纏める必要があったからな。僕の命令で専門チームを派遣しておいた」

 せっかく蒔いた種を、チェック人らの暴走で全部台無しにする訳には行かなかったマクシミリアンは、一年以内にポラン王国を独立させる内政チームをジェミニ兄弟と一緒に派遣した。

 内政チームは、ポラン地方のスラヴ系部族を回ってポラン王国への参加を説き、短時間での王国建国までこぎつける事に成功した。

 王を投票で決めることから、本当の所ならば、『ポラン王国』ではなく『ポラン共和国』なのだが、ハルケギニアでは例のない共和国誕生で、敵を増やしたくなかったマクシミリアンとポラン政府上層部の利害は一致し、ある程度国力を蓄えるまで王国と偽る事にした。

 兎も角も、僅か数ヶ月でポラン王国は成り、ポラン系スラヴ人なら誰でもポラン王国に参加できるように門戸を大きく開いたが、その反面、急ごしらえの影響か、貴族の権力が強く、反面王の権力は弱くなってしまい、後に禍根を残す事になるが、ともかくポラン王国は短期間で反ゲルマニアの一大勢力にのし上がった。

「提出された資料では、ポラン王はピヤストとか言う中年男だそうだな」

「御意。ゲルマニア貴族時代は、ほぼ飼い殺
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