第六話
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外で武芸者たちが戦っている中、シェルター内は静かだった。
地下シェルター内には会議室や医務室など一通りの施設がある。それらを繋ぐ通路をレイフォンたち三人は歩いていた。
ぶっちゃけると暇だったのだ。
雰囲気は陰鬱だし取り分けすることがさほどあるわけでもない。暇つぶしに何かしようにも不安げな生徒たちの近くでする気もしない。
そのため中を見てまわろうとなったのだ。
他の生徒達は皆そんな気も起きないのか通路には他の姿は見えない。
証明で照らされた無機質な道が続き、所々に曲がり角や扉などがある。
気分のままにクラリーベルは適当に道を進み扉を開けたりしていく。
「色々あるなあ」
シェルターはそこまで手狭な空間ではない。上の都市とは比べ物にはならないが、それでも人の居住空間としての広さがある。
階層建てになっており、小さな地下都市の様にも思えた。
其処此処に伸びた通路は閉鎖感こそあるが、意識せねば窮屈さを感じぬ程度には幅と高さがある。
閉鎖感のある場所ばかりでなく、中には扉を開けた先には開けた空間がある時もある。
手すりの先に地面はなく、見下ろすと広い空間がそこには開いていた。
貯水槽や養殖用の生簀、その水の緊急時の確保先だろうか。
周囲が壁などで覆われていることには変わりないがる天井は高く、広い。
所々に太い支柱があり、非常灯の明かりが奥にまで長く続いている。
見下ろしていると背中の荷物が動いた気がして改めて背負い直す。
「余り覗き込むと落ちるよ」
「宜しくないですねそれは。それはそうと下降りれば戦えそうですね」
「ね、じゃないよ。しないからそんなこと」
呆れたようにレイフォンは言う。
「取り付く島もありませんね。ほら、柱がいい障害物に」
「逃げるよあんまり言うなら。それに柱が壊れるよここ」
「ここからなら二人がよく見えると思う」
「うん、やる前提の会話はやめようか」
通路に戻る。
まだ歩いていない道、通っていない経路、登っていない階段を優先的に選び進んでいく。
通っていいのかわからない場所まで通っていく。
「階段結構ありますね。えっと、今大体三……いや、降りたりしたから二階? いえ、地下三階?」
「……一応聞きますけど、今どこにいるか分かってよね?」
「練り歩いていればいずれは全て既知の道となりますから。それにこれ」
通路に時たまある案内の標識をクラリーベルは叩く。
だがそれは遠まわしに分かっていないということじゃないのだろうか。
隣を歩くアイシャが言う。
「レイフォン、大丈夫。来た道は覚えているから平気」
それなら良かったとレイフォンは安堵する。
「気が楽になったよ。そう言えば聞いてなかった
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