第六話
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で追求されるのが面倒だったから来たに過ぎない。
することもなくベッドで眠る友人の姿をアイシャは眺める。
「メイは倒れちゃうし、ナッキは戦ってるし、アイちゃんも怪我が開くし」
心配げな瞳をミィフィはアイシャに向ける。
「……倒れないでよ」
「いつものことだから慣れてる。鍛えてるし大丈夫だよ」
「確かに足速いよねアイちゃん。って、それは関係ないか」
ミィフィが立ち上がり伸びをする。
いつも元気なミィフィも流石に堪えているのだろう。浮かべる笑顔にもどこか疲れが浮かんでいた。
「付き添い変わるよ」
「んー、じゃあお願い。まあ眠っちゃったし、好きに戻っていいからね」
ミィフィが医務室から出ていく。
アイシャはミィフィが座っていた椅子に腰を下ろす。
確かにすることなどないのだろう。邪魔にならぬようベッドの頭側に椅子を動かし、アイシャはバッグから本を取り出す。
警報が鳴ってアパートを出る際、テーブルの上に置いてあった読みかけの小説だ。
偶々目に付いたから入れておいたが暇潰しにはなる。
元々残りは少ない。
本が終盤に差し掛かった頃、アイシャを呼ぶ声が横から届いた。
「何読んでるの?」
起きた友人がカーテンの隙間からアイシャを見ていた。
隙間を少しだけ大きくしアイシャはカバーを取って本の背を見せる。
「……『肉の胎動』? えっと、面白いのアイちゃん」
「面白いよ。頭を使わないで読める」
布団から出した顔を近づけ、少女は背表紙のあらすじを視線で追う。
「起こした? それと体はどう」
「何となく起きちゃっただけだから気にしないで。それとまだ少し、辛いかな。ごめんね」
「気にしてない。寝てたほうがいいよメイ」
本の続きをアイシャは読み進める。
今度は布団から顔を出し、少女は仰向けにベッドになる。丸まっていた体が伸び、豊かな双丘が布団越しに主張する。
少女の視線は横にいるアイシャを向いている。
「どんなお話なのか聞いていい?」
「よくあるミステリー。人が死んだり、強盗が起こったりしてそれを解決する話。探偵とその部下が主役」
解決パートまでは基本、定番の流れだ。
事件に巻き込まれた主人公二人組が容疑者たちと話し、証拠を探していく。
その間にも被害者は増えていき、いずれ二人は事件を推理する真相にたどり着く。
最初に部下が推理を披露し、そのあらを探偵が指摘し本当のトリックと真犯人を暴く、という流れだ。
「難しそうなお話だね」
「ううん。探偵が筋肉信奉者で、事件のトリックを力技で解決する。頭は使わない」
理解できていない少女にその部分を見せる。
首吊り死体のトリックを暴く部分だ。一人では無理だから
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