第一章 【Re:Start】
第五話
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その、側面に。
一息でゴルネオは入り込む。
先の一撃よりも練り上げた剄を込めた拳を、直に甲皮へと撃ち込む。
――ルッケンス流 迫撃掌・裂罅
強化された殻砕きの拳打が罅を砕き、込められた剄と共に殻の中の肉を穿つ。
甲高い金切り音の様な悲鳴と共に飛び散る体液を浴びながらゴルネオは直ぐさまその場を離れる。
先程までゴルネオがいた空間を鋭い爪が薙いだ。すぐ傍まで迫っていた別の汚染獣の爪だ。空振りしたその爪が外縁部のプレートを抉る。
ゴルネオを追おうとした振り上げられた脚部。狙撃の剄がそれを撃ち追撃が止まる。
「ちっ」
渾身の拳を叩き込んだはずの個体が動くのを見てゴルネオは舌打ちした。
十分なだけの肉を飛ばしたと思ったがそれは錯覚。放射状に広がった罅の中心、そこの肉が抉れただけ。
汚染獣の動きも僅かに鈍くなっただけだ。完全に殺すには少なくとも更に数発は必要だ。
同隊の隊員が周囲の汚染獣の気を引く中、囲む汚染獣の爪牙を避け追撃を加えるべく近づこうとしたゴルネオは空気が熱せられるのを感じた。
見上げた先、シャンテが先ほどの個体目掛け跳んでいた。剄で灼熱に染まった槍をシャンテが振り下ろす。
槍はゴルネオの穿った傷跡へと刺さり、肉を焼きながら更に奥へ。込められた剄が穂先で爆ぜる。汚染獣が小さく痙攣する。
「あれ?」
「馬鹿が、止まるな!」
肉に埋まった槍を抜こうとするシャンテをゴルネオは近づきざま引きずり倒す。一瞬遅れ、すぐ傍を通り過ぎた爪がゴルネオの腕を浅く切り裂く。
(っ、これでもまだ死なないのか)
刺さった槍から逃れようと藻掻く汚染獣に接近、周辺の肉を吹き飛ばすように一撃を入れ、力任せに槍を引き抜いてゴルネオはシャンテを脇に抱えたまま下がる。
追おうとした他の汚染獣を入れ替わるように前に出た武芸者が引き受ける。
「一撃で決めようとするな、決して止まるなといったはずだ」
「ごめん……」
うなだれたシャンテを地に降ろし槍を渡す。
他の武芸者も動いていた。数人で組みを作り、それで一匹に当たる。
だが硬い殻に高い生命力を持つ汚染獣は殺しきるまでに時間がかっていた。汚染獣は数も多く、あまり時間がかかるようではジリ貧になるだろう。
先ほど攻撃した汚染獣も見た目は死に体に見えるが未だ動いていた。
「可能なら脚部の破壊を優先するよう伝達しろ」
『了解です』
念威操者へとゴルネオは伝える。
直ぐに殺せないならまずは機動を削ぐ。
数を減らすことに終始するより、戦線を突破され市街部に向かわれる方が困る。
(確か、神経節、だったか)
多くの生き物、特に節足動物は体節制といい体節という構造の繰り返しで出来ている。ミミズ
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