第一章 【Re:Start】
第五話
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を蹴る音が響き、空気が澱んでいる気がした。
前に使われたのはいつなのか。或いは、これが始めてなのか。
「二人はシェルター入ったことあります? どんな感じなんですか」
「僕は公式戦で認められるまでは入ってたよ。弟たちが煩くて周りの人に頭下げたかな確か」
「院の子達は元気ですからね。今もそうなんですか?」
クラリーベルが楽しげに聞く。
もっとも、他人には聞かれぬよう声量は下げてだが。
「今はどうなんだろうね。リーリンに聞こうにもここ一年弱はさ。距離置かれてて、僕はちょっと……その、うん……ごめん」
「……すみません」
答えづらそうにするレイフォンにクラリーベルは謝る。
その空気を打ち消そうとクラリーベルは話をもう一人の方へ向ける。
「じゃあ、アイシャさんはシェルター入ったことあります? 何かありました?」
「前に一回だけ入ったよ。汚染獣に押入られて、知り合いの人が目の前で喰べられ」
「――こっちもかーごめんなさい!! そうでしたねやめにしましょう。はい、終わり!」
二連続で地雷を踏んだクラリーベルが言葉を遮って打ち切る。半ばやけくそ気味だ。
お前ら何なんだよとばかりに二人に視線を向ける。
「私はですね、入ったことがないんですよ。実家の方が安全だったので」
貴様らは喋るなとばかりにクラリーベルが自分の話を始める。
「お爺さま天剣ですし、親族の方たちも実力者ばかりです。王宮も近く、そこにも天剣の方々いましたから」
「確かにそっちの方が安全かもね。王宮なら陛下とかもいるし」
「そうなんですよ。彼らが負ける相手にシェルターとか意味ないですから。すぐ傍に天剣授受者がいる様な場所でしたので」
セキュリティシステムよろしく王宮には基本的に天剣授受者が最低一人は常にいる。汚染獣襲来時はもう数名増える。
三王家であるクラリーベルの家なら王宮からはそこそこ近い。
「気づいたら公式戦で認められてました。なのでシェルターに興味あったんですよ」
クラリーベルは楽しげに周囲を見渡す。
それに釣られ天井を見上げ、そういえば何年ぶりだろうとレイフォンは思う。
公式戦で汚染獣と戦うことを許されたのが八歳。出られる時は出続けた。多少の怪我があっても、隠して出続けた。
だから、明確に記憶には残っていない。
ここ一年程は戦場に出ていない。だがシェルターに入りはせず都市の中を逃げ回っていた。
記憶の中にある天井は酷く高かった。実際、見上げるだけの高さはある。
けどそれが今は近く感じられて、本当に久しぶりなのだとレイフォンは言い様のない感覚に襲われる。
「そう言えばひとつ前の話の続きなんですけど」
「ひとつ前?」
「私たちが出なくていいのかって話で
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