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鋼殻のレギオス IFの物語
第一章 【Re:Start】
第五話
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けていた一人はその接近に気づかず、もう一人がレイフォンに気づいて顔を上げる。

「何やってるの二人共」
「何って、見たとおり指相撲を……レイフォンですか」

 もう一人もレイフォンに気づいて振り返る。
 クラリーベルとアイシャは荷物を足元に起き、握手をするように指を組み勝負をしていた。中々に白熱しているようだ。
 視界が外れた一瞬を好奇と見たのだろう。何故かジャージ着用のアイシャは素早くもう片方の手でクラリーベルの指を絡め取り上からガッチリと親指で抑える。
 クラリーベルが視線を戻すより早くその手は元の位置に戻っている。

「あ、今絶対他の指使いイタタタタタ」
「気のせい。……四、五。私の勝ち」

 汚染獣の襲来で不安がる人の中、こいつら何をやっているんだという視線をレイフォンは向ける。
 勝ち名乗りを上げたアイシャは若干満足気だ。

「明らかに指輪が触れた気がしたんですけどね……レイフォンはバイトですか?」
「ええまあ。ほかの人もだけど中に入らないの?」
「行方不明の友人待ちですよこれ。探しに出ちゃった人もいて、都市警もそれで走り回ってます」
 
 今回の汚染獣襲来は酷く急な事態だ。外縁部付近などシェルターから離れた場所にいればそれだけ避難も遅れる。
 仲がいい友人がそれならば不安にもなり、探しに行こうと連絡手段もないのに飛び出す者もいる。
 改めて周囲を見る。不安な顔でじっと待つ者もいれば今にも飛び出して行きそうに思いつめた顔をしている者もいて、そういった相手を都市警が抑えている。
 これでは都市警の人間は仕事が減らず、外縁部に迎撃にも出られないだろう。

「私たちは一応レイフォン待ちです。どうせ迷って……ああいえ、どの入口から来るか分からなかったので。もう少しで無視して入るつもりでした」
「入って良いの? 聞いた限り、脚部を登っててもうすぐ来るって言ってたけど」

 どちらでも良いと思っていたがレイフォンは一応聞く。
 荷物を持ったクラリーベルは「んー」と考えるように視線を泳がせつつ、他の生徒から距離を置くように隅へ動く。

「いいんじゃないですかね、多分」
「そうなの?」
「現状じゃ陛下の命令守るの難しくて……というのは建前で、実際は別に私たちがいなくても平気ではないかと。ま、ま、取り敢えず歩きましょう。実は私、シェルター入るの初めてなんですよ」

 少しテンション高めに言うクラリーベルについてレイフォンとアイシャも荷物を持ち建物の中に入っていく。
 普段は閉じられている分厚い床の扉から階段を下り、何層にもなっている壁を通りながら歩いていく。

 既に大半の人はシェルターに行ったのだろう。さほど長くはない通路だが見える人影は少ない。
 広さはあるが閉鎖された空間だ。靴が地面
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