第一章 【Re:Start】
第五話
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ら勝負になるはずがない。
だから、覆い被さってくるよりも早く、囲うように四方から迫る爪より速く前へ。
懐に潜り込み、軸とすべく根を如く右足を踏み出し剄を爆ぜさせる。
――活剄衝剄混合変化・塵雷
正面から撃ち下ろされた鉄鞭が幼生体の殻を砕き肉を穿ち、尚も止まらず進む。
剄の余波が衝剄となり撃ち込まれ、全身の殻を破砕し破壊を続けていく。
過大な威力の一撃で絶命した幼生体の体が夥しい量の血を撒き散らす。
衝撃のままに飛ばされ背後にいた幼生体を巻き込みその脚を止める。
鉄鞭を振り抜き、直ぐさまニーナはその場で体を回して後ろへと傾ける。
瞬間、ニーナの頭があった場所を鋭い尖端が突き抜ける。
薙払いではなく刺突に近い一撃だ。節榑立った構造のせいで奇妙な軌道を描き宙を貫く。
技を避けられる心配がないと剄を出し切らぬよう調整したが、それでもやはり動きに一瞬の隙は出来る。ニーナの頬に朱い筋が刻まれ雫が滴れていく。
走る痛みを噛み堪えながらニーナは膝を折り体を沈める。
真横から振り払われた脚が頭上を通る風の音を聴くより早く、溜めた足のバネを弾けさせる。
「ぁあああああ!!」
裂帛の気合を轟かせ地を疾走する
瞬いた時には既にそこにニーナの姿はない。
振り下ろした鉄鞭が幼生体の頭部を砕く。衝撃が伝播し背甲にまで及び破砕。大量の中身が地面に叩きつけられる。
(今、どれだけ倒した。後どれだけ残っている)
流れる血を拭いながらニーナは考える。
既に二桁の幼生体ニーナ一人で倒している。だが、それでも全体から見れば微々たるものだ。
未だ大きな怪我は負っていない。だが疲労が積み重なればどうなるか分からない。
少しずつ流れ出た血の影響も馬鹿にならなくなるだろう。
(血といえば先ほどの彼は無事だろうか)
医療技術に関しては死んでさえいなければ大抵治ると聞いたことがある。意識はあったのだ、止血さえ出来ていれば死にはしないだろう。
最も、あの蹴りが致命傷になっていなければだが。
危ない所に助力し、或いは怪我をした者をニーナは既に何人も助けている。
幼生体の大顎は枝木を剪定するように容易く四肢を断ち切る。関与していない範囲でも腕を、足を無くし運ばれていった武芸者は幾人にも昇る。辺りを探し回れば切られた手足がゴロリと見つかる程だ。
走り回る最中、踏みつけそうになって姿勢を崩し脇腹を斬られたのはニーナにとって痛い教訓でもある。
自分の区画だけしかニーナは知らないが、未だ死人は出ていない。
単なる幸運と幼生体の生態によるものだ。
幼生体は体の大きさに比べ頭部が小さく、口もさほど大きくはない。
その為、捕食行為を行われても発見と救出が早ければ死
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