暁 〜小説投稿サイト〜
鋼殻のレギオス IFの物語
第一章 【Re:Start】
第五話
[15/17]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
振り下ろす。
 必死に身を捩らせ避けるが、瞬く間に爪で刻まれ血が滲んでいく。
 
 仲間が助けようにも掴んで引きずり出す隙はない。殺そうにも一打二打では幼生体は身じろぎさえしない。
 その僅かな間に近くの幼生体が近づき数が増える。
 男子生徒は手に握った剣で必死に幼生体の脚を払い、なおも足掻こうと向かってくる幼生体めがけがむしゃらに振るい、

 カラン、カラン

 と音が鳴った。
 握っていた剣が遠く、地面を転がっていく。
 腕があったはずの場所。
 そこにはガチリと閉じられた幼生体の大顎があった。

「ッ、ぁあああ!!??」

 肉の欠片を付けた大顎が噛み合わされる。
 打合せられ響く音に鈍重で水気のある咀嚼音が混じる。

 持ち上げられた脚の爪が首を貫く寸前、旋剄で急接近したニーナの鉄鞭がその脚を横合いから両の鉄鞭で勢いのまま殴り、砕く。
 そのままニーナは男子生徒の前に無理矢理に体を捩じ込ませる。
 周囲の幼生体も迫り、武器を構える間もなくニーナに複数の爪の追撃が迫る。
 それをニーナは正面から受け入れる。

――活剄衝剄混合変化・金剛剄

 剄の壁が迎え撃つ。
 無防備なはずの体に届いた爪はニーナに触ることを許されず弾き返される。
 僅かに出来た隙。その隙間を縫ってニーナは体を反転させ幼生体が道を塞がぬよう背後へ衝剄を放つ。
 足に剄を集中させながら倒れた男子生徒へ踏み込む。
 すぐ傍に幼生体がいる。拾って逃げるだけの時間はなかった。

「腹に力を込めろ!!」

 その声が届いたのかは分からない。
 ニーナの足が男子生徒の腹部に激突しその体を浮き上がる。
 そのまま足を振り切り、男子生徒を仲間がいる方へと蹴り飛ばす。

 結果を確認する暇はない。僅かに生まれた隙を突くように幼生体の脚がニーナに背後から迫る。
 避けるだけの時間はない。体を旋回させつつ右の鉄鞭で受けて弾く。完全には弾けず軌道がずれた脚の爪がニーナの両肩を裂いていく。

 唇を引き絞って苦痛の声を抑える。
 姿勢を低くし地面を蹴り目の前の幼生体に接近。振り下ろされる脚の下へ体を潜り込ませつつ関節部を砕く。
 側面の甲殻へ力任せに右の鉄鞭を横薙ぎに叩きつける。中身諸共一打に砕かれたそこに左の鉄鞭を刺し、剄を撃ち込む。
 直ぐさまその躰を足場にして蹴り他の個体からの襲撃を躱し、ニーナは体を宙に舞わせる。

 着地点にいた幼生体の背甲へ鉄鞭を二本とも振り下ろし破壊。衝撃に幼生体が体勢を大きく崩す。
 放り出される直前、ニーナはその背を蹴って地に降りる。そこを狙って爪が迫る。
 虫が威嚇をするように後ろ足で立ち躰を起こした幼生体はニーナへ覆い被さるように複数の脚を振り下ろす。

 重さで責められた
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ