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鋼殻のレギオス IFの物語
第一章 【Re:Start】
第五話
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きく幼生体の体を抉る。 

『無理だな』

 速攻で諦めアイクは後ろへ下がる。

『汚染獣用の技とか何かないのかよ』
『有るにはあるがこうも周りに多いと無理だ。鎧徹しもあるが人じゃないからな。専門家に任せる』
『本来お前さんも専門家のはずなんだがなぁ……使えねぇ』

 幼生体の攻撃は人で言うところの反射的な動きに近い。直線的だが予備動作が小さく不意にくる。
 嗅覚が強いからか気配を飛ばすことも意味は薄い。複眼が相手では速度の緩急も効果は薄い。
 しかも痛みを気にせず待ちの姿勢などしたら速攻で吹き飛ばされる。
 攻撃は捌くのではなく避ける。何よりも速さと耐えない動き。そして一撃の重さが必要とされるのだ。アイクとは相性が悪い。
 

 改めてシャーニッドに促されニーナは一旦前線から下がる。
 息を整え体内で荒れ狂う剄を沈め、僅かばかりの休息を取る。
 だがさほどの間もなく、ニーナの目はそれを捉えた。
 
 視界の端、一匹の幼生体を足止めしている四人組。
 囮役をしていた下級生の動くタイミングが遅れた。
 急ごしらえな連携ゆえの、本当に小さなズレ。
 次の瞬間、無造作に振り下ろされた幼生体の脚が逃げ遅れた下級生の左腹部を貫いた。刺さった勢いで下級生は地面へと叩きつけられ、頭を強く地面にぶつける。
 刺さったまま再度脚を振るわれ、鋭い爪が腹の肉を無理矢理に裂く。

 下級生が放り投げられるように飛ばされる。
 脚が刺さっていた部分は抉れ、絶え間なく血が流れていく。
 血が、その中身が、溢れぬよう。立ち上がることさえ出来ない下級生は傷口を手で抑える。
 その程度で塞がるはずのないその穴を、武器も離し両手で。

「―――!! ――――!!!!」

 口は限界まで開かれ、目の焦点は合っていない。必死で抑える手も震え、指の隙間からは血が溢れ続けている。

 他の三人が慌てて回収し、後方の救急テントまで運んでいく。
 ほんの数秒の、束の間の出来事だ。
 それを見てニーナはロクに休まってもいない体に再び剄を入れていく。

『おい、ニーナ』

 端子越しに諌める声が届く。
 だがニーナは幼生体へと向かい、鉄鞭を振り下ろす。
 一匹でも多く屠るべく。
 ひたすらに、足を進めた。








 暫く戦い続けニーナの服が幼生体の体液で染まりきった頃。
 体に刻まれた傷も増え、最初の場所から少し離れて気づけば一人で戦っていた時。
 不意にニーナの耳が悲鳴を拾った。

 それは少し離れた場所にいる武芸者が上げたものだ。
 地面に転がっている男子生徒には右足は膝から下がなかった。幼生体の攻撃を避け損ねたのだろう。
 しとどに血を流し痛みを訴える男子生徒に向け、幼生体が脚を
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