暁 〜小説投稿サイト〜
鋼殻のレギオス IFの物語
第一章 【Re:Start】
第五話
[12/17]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
不安が伝播する可能性もある。毅然とした姿勢を示す必要がある。
 ゴルネオは幼生体へと向かっていった。










 

 息を吸うたびに鼻の奥がチリチリと痛む。
 幼生体に付着していた汚染物質が空気に混じっていた。個々の量は少なくとも数が積み重なれば確かな量になる。
 膨大な数の汚染された獣の臭い。溢れた血臭に肉臭。人の血の匂いも混ざっている。
 汚染獣との戦闘が始まり既に相当の時間が経つ。外縁部の最前線でニーナたちは幼生体の相手をしていた。
 既に嗅覚はロクに効かずその痛みだけが空気の匂いとなっていた。
 

 第十七小隊の受け持ち区画は第五小隊とは大きく離れた場所にあった。
 ニーナは吸った空気を臓腑に行き渡らせ鋭く吐き、地を蹴り跳ぶように幼生体へ迫る。
 右上から迫る爪に右の鉄鞭を持ち上げ斜めに受ける。左へと矛先を代えさせ、受けた力に逆らわずニーナは押されて屈むようにその下へ潜る。

 体を支えるように右足を出し、踏み込む勢いをまま体を捻る。旋回しながら前進し、弧を描き遠心力を伴った左の鉄鞭を横から脚部に撃ち込む。砕けヘし折れ、殻が弾け飛ぶ。
 その勢いのまま前方にある幼生体へも振り下ろし頭部を一撃で破砕する。

 頭を砕かられたとて直ぐに死ぬわけでもない。痛みに鈍感な幼生体の爪が半ば反射的に動く。
 だがその矛先は目の前のニーナではなく横へ、側面から接近し衝剄をぶつけたアイクへと振るわれる。
 腕に付けた手甲越しにアイクはそれを受けクルリと回し、受け流して爪を下へと叩き落とす。そして踏み込み甲殻に一打すると直ぐに場を離れ追撃から逃げる。
 
 その隙に止めを刺そうと動くニーナへ他の個体が前脚を振り下ろすが、背後からの射撃が脚の関節部を撃ちそれを阻害する。
 ニーナは回避動作を中断。前へと跳び頭を無くした幼生体の背甲に乗り、衝剄を撃ち込むと同時に双の鉄槌を下す。
 一瞬で放射状に罅が刻まれ伝播する。瞬くより早くそれが砕ける。
 背部が陥没し、透過した浸透剄が臓器を死滅させ全身の機能を停止させる。

『おいニーナ、先行し過ぎだ』

 射撃で援護を行っているシャーニッドが端子越しに諌める。
 本来、複数人で組んで当たる戦闘をニーナはほぼ単独に近い状態で行っていた。
 シャーニッドの射撃やアイクの陽動はあるがコンビネーションというよりニーナの動きに後から合わせているという状況だ。

 それでさほど問題がない、というのも問題だった。
 時間と数を重ね成す幼生体の撃破をニーナは凡そ三四の?で成していた。
 両の手に武器があるのだ。一息の動作という事さえある。

 だがそれでも助力があれば危険は減る。
 それほどの擲ならば剄や体の疲労も早く積もる。それを和らげる
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ