第一章 【Re:Start】
第五話
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や芋虫の体にある節の筋が分かり易い。
体節は身体を稼働するための機能をそれぞれ有している。
ある程度以上発達した生き物だと神経網が複雑になり、体節ごとに異なった機能を有したり体節間の関連性が深く、どれかを失うと生命維持に問題を起こす。
だが昆虫のような生物だと個々の体節区切りで神経支配が強く、機能が独立し脳の代わりに近い役割を有すようになる。
極端な話、頭がもげても止まらずに走り続けることもある。頭部の神経の役割が大きくなく、足を動かす部分の中枢神経は生きているからだ。
頭をなくした虫の死因が餌を食べられず餓死、なんて事さえある。
頭を砕き、脚をもぎ、腸を晒し、血を流し。
それでもお構いなしでその爪を振るい重く堅牢な躰をぶつけてくるのだ。
待ちの姿勢や一打ごとに止まっていては命が幾つあっても足りはしない。
汚染獣の速さと重量を思えばただ当たるだけでも重傷になる。
何より渾身の威力で撃ち込まねば壊れぬ殻。小隊長であるゴルネオでこれでは、他の武芸者ではどれだけ数を打てばいいのかも分からない。
足を奪うにしても何人がかりで何発打てば十分なのか。
(もう少し、数が少なければ)
汚染獣は脚部を登ってくる以上足場は限られている。汚染獣が現れる度に倒すのも一つの方法である。
それを取らずある程度姿を見せるまで待ったのは、練った剄の一斉放射である程度の数を一度に減らすつもりだったからだ。
だが予想以上に残った数は多い。
飛ばすわけにはいかないと早目に切り上げたのが結果的にだが是と出ていた。
グレンダンの武芸者達が重ねた初撃で十分な数を屠るのをゴルネオは見た事がある。
汚染獣の中でも最弱の幼生体でこの体たらく。目の前の現実の光景とそれをつい重ねてしまう。
(グレンダンではこんなことは……いや)
歴戦の相手と比較しての卑下など侮辱に近い。流れた思考をゴルネオは断ち切る。
切られた腕の傷がジクジクと痛む。傷自体は浅いが汚染獣の爪についていた汚染物質が付着したのだろう。
不意に、かつてサヴァリスとした会話をゴルネオは思い出す。
汚染獣が襲来したその時、戦闘狂の兄が出撃する気配もなく家にいたのがゴルネオは不思議だったのだ。
――脆すぎてつまらないからだよ
サヴァリスはデコピンの仕草をしながらそう言った。幼生体や雄性一期程度ではつまらないのだと。
そんなものかと当時ゴルネオは思ったが、今思えばどれだけ馬鹿げた言葉なのかが実感できる。
今までの環境がどれだけ恵まれていたのか。今更になって理解しながらゴルネオは動き続ける。
反省は後でも出来る。今は今できる最善を尽くすのみ。
実戦経験者などこの場には皆無。下級生も多い。時間とともに
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