第一章 【Re:Start】
第五話
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が、各小隊以下は既に担当区域での展開が報告されています』
千を超えると聞き部屋にいる者たちの表情に不安がよぎる。想像を超えた数だ。
「結構。そのまま探索を続行するように。それとほんの数名、生徒の誘導用に都市内に残すよう通達を。突然のことで対応できていない者もいるだろうからね」
『了解しました』
端子から送られてきた情報がモニターに映る。部屋にいる誰もがそれを険しい表情のまま見る。
この部屋にいる彼らに出来ることはさほど多くない。実際にその時が来るまではマニュアル通りの指示くらいしかすることがない。
初めての事態でアマチュアの彼らには何をすればいいかわからない、というのもある。
「脚部の破損状態はどうなっている」
「足を取られたせいで負荷が偏ってるよ。歪みが出て金属疲労も随所にある。本来ならすぐにでも処置できるが、有機プレートの自動修復待だ。足も抜けてねぇ」
事実は事実だとでも言うように、機械科の長は悲壮さを込めず淡々という。
汚染獣がいる今、修理要員は出せない。
現状では修理は不可能で、ツェルニはこの場所から動けない。
汚染獣たちは地道に脚部を登っている。高高度飛行が出来ないのか、或いは機能が未発達なのかは不明だが、空を飛べないらしい。
ツェルニを動かせるならば襲来する汚染獣の数を分割できた可能性もあったが、それは不可能だ。
カリアンは商業科の長へと視線を向ける。
「そちらの準備はどうなっているかい」
「埃を被っていたが軽いメンテナンスを終えれば直ぐに使える。だが、出来るなら使いたくはない」
汚染獣と戦うのは武芸者の仕事だ。だが非武芸者にも出来ないわけでもない。その内の一つが質量兵器の使用だ。
だがこれはそれに伴う資材が消費される。敵の数に比例して消費も多くなる。レギオスという限られた世界において多量の資材の消費は容易く看過できない問題だ。
質量兵器はあくまでも一時的な牽制や最後の手段。都市の盾となり矛となるのは武芸者だ。
その矛を商業科の長は睨む。
「で、その主役が何故ここにいるヴァンゼ」
「武芸科の長として状況の把握をするためだ。うちの隊員は優秀だからな。俺一人いなくとも不備はない」
視線を向けられたのは髪を後ろに撫ぜた背の高い男だ。
第一小隊隊長も務める彼、ヴァンゼは大規模戦闘において武芸者の総指揮を取る立場の人間だ。戦闘が始まれば自身も戦わねばならない。そうなる前に分かるだけの情報を集めに来ていた。
苛立ち混じりの言葉を気にもせずヴァンゼは答える。
「気にせずとも直ぐに出て行く。隊の場所まで十分とかからない」
商業科長は小さく鼻を鳴らしヴァンゼから視線を外す。
突然の非日常に押し込められた歪な静けさの底にあ
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