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機動戦士ガンダム0087/ティターンズロア
第一部 刻の鼓動
第一章 カミーユ・ビダン
第四節 渓谷 第二話 (通算第十七話) 
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いいんですがねぇ……」
 サラートは一年戦争で一兵卒からの叩き上げでモビルスーツパイロットになったという異例の経歴を持っていた。元々は陸軍の戦車乗りだったのだが、選抜テストに合格し、ジャブローでモビルスーツの特別訓練を受けて、ソロモン攻略戦、ア・バオア・クー攻略戦を生き抜いてきたベテランである。
「中尉、よろしくおねがいします」
 カミーユのタックネームをつけたのはサラートだった。「どっかで見たことある顔だと思ったら、サイド7のジュニモビ大会の優勝者じゃないの」と大声を挙げたのが切っ掛けだった。フラガ中隊の中でも、古参であり、戦前からの職業軍人は彼だけだった。
「ジュニモビとは違うからな。気ぃつけて操縦しろよ」
「はいっ!」素っ気なさが、信頼の証と思えた。
 ランバンと隊長が渓谷の向こうへと消える。フラガの機体はさすがに無駄のない動きだ。それに比べてランバンの機体は、動線が大きい。スラスターの出力が絞り切れていないし、噴かしすぎなのだ。ランバンは直感的な操縦をするタイプのパイロットで、カミーユの様にメカに精通しているタイプではなかった。割と大振りな動きで、狙いやすい割に被撃墜数は少ない。動きが大胆でランダムであり、対戦するとなかなか遣りづらい相手だった。
「ほいじゃ、ぼちぼち行くとすっか?」
 サラートは鼻歌を歌いながら暢気に動き出した。
 カミーユは先行する《ジムII》を視界に入れながら、手許のコンソールを叩く。渓谷のマップデータを呼び出し、地形データに沿った、飛行ルートを設定する。回避パターンは、通常オートにするものだが、マニュアルに設定。相対距離、相対速度をサブモニターに表示させ、接近戦の用意をしておく。
「おいおい、隊長に接近戦を仕掛けるつもりかよ?」
 サラートにカミーユの気負いが伝わったのだろうか。冗談よせよとばかりに、マニピュレーターを左右に振った。無理無理……カミーユにはそうサラートが言っている様に見えた。
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