第三十八話 工業化への道
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はなく、高等な仕事を任されているでしょう。」
ゲオルグは、水を一口含み顔を歪めた。
「残念かも知れないですが、時間です。議決を取るので静粛に。」
貴族議会議長、ランドの声と木槌の音が動揺している議会を黙らせた。
「賛成挙手。」
ランドの声が響き、大多数の議員が挙手した。
「書記官、数える迄も無いな。」
ランドは、カツラを揺らしながら木槌を叩いた。
「本提案を賛成多数により、可決し今日の議会を閉廷する。」
ランドは、書記官から記録を貰い、閉廷を宣言した。
こうして、本日も茶番劇は終了した。
廊下を歩く中で、一人の議員がゲオルグに、
「根回しは出来ましたので、お約束通り貴族社交補助予算に、補正予算を明日の追加議案に。」
ゲオルグは、苦笑しながら
「約束は、果たす。紳士は約束を守るものだと、我が主の口癖だからさ。」
と言った。
この議員は爵位の割には、巨大な邸宅を先祖が作ったからものだから維持費とさる出来事で借金が出来ていたのだ。出来ていたと言っても露骨すぎる利権を急かす議員を見て、魔法の才能が無い貴族は生活が辛いを感じた。
「そうですか。」
安堵の笑みを浮かべる議員は、ゲオルグとは別方向へと消えていった。
ゲオルグは、議会の通路にある、歴代の王の像が飾られている部屋に入った。
「確か、ここに……。」
ブリミル像の裏側にある部分に、魔力を流すと歴代の王の像が動き、隠し通路が姿を晒した。
ゲオルグが、ブリミル像から離れ部屋の真ん中のタイルを杖で、魔力を通しながら叩くとブリミル像の沈み込み通路が出てきた。
ゲオルグは、この見事な仕掛けにほぅと感嘆の声が漏れた。
この通路は、ワイアットが以前使っていた通路に繋がっており、ゲオルグは通路の初めにある扉に、懐から首飾りを出して中央の飾りを動かし、中から宝石が顔を見せた。
その宝石を扉の窪みに押し付けると、扉が自ら動き出した。
迷いやすい地下通路をゲオルグが、歩きながら目的地に着いた。
そこは、鏡の前だった。ゲオルグは、鏡の縁を叩きながら何かを呟いた。
そうするとたちまち、ゲオルグはワイアットの執務室にある巨大な鏡の前に立っていた。
ワイアットは、ゲオルグの報告を受けながら次は、何の政策を通すか考えていた。
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