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亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第百三十五話 弔悼
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のようだな、厄介な事だ」
「同感ですが、返事は何と?」
諮問委員長が問うとレムシャイド伯が首を横に振った。
「オーディンからは移動要塞が実用可能となった時点で返事をしたいと言ってきた。それまでは公にしてくれるなと……。共同出兵だけが先行する事を恐れているようだ」
諮問委員長が頷いた。
「その判断は正しいでしょう。一つ間違うと要塞の準備が出来る前に出兵という事になりかねません。それにもし現時点で出兵という事になれば指揮系統を如何するかという問題も有ります。バラバラに戦って落とせるほどイゼルローン要塞は柔ではありません」
「うむ、卿の言う通りだな」
「あと一月半といったところですか……」
「そうなるな、結構長い……」
二人が大きく息を吐いた。そして飲み物を飲んでいる。妙な感じだ、この二人と居るとここが帝国なのではないかと思ってしまう。それほどに二人には緊張が無い。そしてさりげなく両国上層部の動きが語られていく。私達が人払いされなかったのは他愛ない話だからではない、何を話したかの証人なのだろう。諮問委員長が視線をレムシャイド伯に向けた。
「同盟では移動要塞を造るべきか否かで国防委員会と軍が迷っています」
「ほう、それで?」
レムシャイド伯が興味深げな視線を諮問委員長に向けた。良いのだろうか? 機密漏洩ではないの? バセット大尉を見た。大尉は作業をしているがほんの少し表情が厳しいように見えた。
「イゼルローンやフェザーンの近辺で造るよりも安全ですしコストも安くなるだろうと国防委員会は計算しているようです」
「なるほど」
「私も同意見ですが移動要塞をイゼルローン、フェザーンに設置後は移動機能であるワープ・エンジンや通常航行用のエンジンは撤去すべきだと考えています」
えっ、と思った。私だけじゃないレムシャイド伯も驚いているしバセット大尉も驚いている。
「如何いう事かな、それは」
レムシャイド伯が訊ねると諮問委員長は一口ココアを飲んだ。そしてカップをテーブルに置く。カチャッと音がした。委員長の表情は厳しい。
「あれは非常に危険なのです。要塞の周囲に十二個のワープ・エンジン、通常航行用のエンジンを取り付けますが全てが正常に動かないと危険です。エンジン出力が均等に、同じタイミングで行われないと取り返しのつかない大事故を起こす」
レムシャイド伯が唸り声を上げた。
「設置して十年、十五年後にいきなり要塞を動かして全てが正常に動くと思いますか?」
「……全てか、……いきなりというのは難しいかもしれんな」
「私もそう思います。事故が起き易いんです。つまり細工もし易い。事故が起きた場合、それが本当に事故なのか、事件なのか、判断が出来ません。疑心暗鬼になるでしょう」
レムシャイド伯の表情が厳しくなった。
「
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