派遣社員になった訳だが……どうしよう
18話
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俺が考えた事を!?
「分かるよ、私は君を愛しているからね」
何なんだこいつは、 こんなアラガミは知らないぞ。人型アラガミなんて俺のような例外を除けば、一匹しか知らないぞ。
「ああ、シオの事だね」
原作知識まで読まれているのか……
「うん、そうだよ。終末捕食も赤い雨も何もかもね、でもそんな事はどうでもいいんだ。私は君が私を見てくれればそれでいい、だから君を苦しめる存在はみーんな私が消してあげるよ」
俺を苦しめる存在?
「君が人間なんか弱い存在が死んだ、生きたで一喜一憂するのは私にとって不愉快だし、君が傷付くのはもっと見たくないからね」
女は一瞬で俺が突き飛ばした距離を詰めて、もう一度手を伸ばしてきた。その不気味さに拳を振るおうと具足に点火した瞬間、何かに体の至る所を無数の黒い腕に掴まれて動きを阻まれ、そのまま仰向けに引き倒された。
いくら立ち上がろうとしても、体はピクリとも動かない。
女は俺の上に四つん這いになって、俺に視線を合わせると宣言するようにこう言った。
「アーク計画を使って、私と君だけを新しい地球に残す。アラガミも人間も必要ない。君が私だけを見てくれる世界を、私は作る」
女はそれだけ言い終えると俺の上から立ち上がり、何処かへのその姿を消した。
女が消えてから数分後に腕は靄のように消えて、ようやく体を動かせるようになった。
我ながら即物的というか、ああした明確な敵を前にするとこうもやる気が湧いてくるとはな。あの女の正体は何も分からんが、あいつの考えが少なくとの俺の気に入らないという事だけは確かだ。
そうなると、いつまでもここで凹んでいる訳にはいかん。
とりあえず、日本に戻ろう。そろそろ、あの辺りに強力なアラガミが集まり始めているだろうし、そろそろ戦力強化に勤しむとしよう。
自分の無力さはもう十分に分かったんだ、二度と味わわない為にも動こう。
ああ、あの眼だよ。
私が求めていたのは不条理に抗おうというあの眼だ。
人間も、アラガミも、私を見る眼はみんな恐怖か絶望の色が殆どだけど、彼の眼は違う。
彼は私から眼を逸らさず、私の全てを理解した上で判断する。それが例え逃亡であったとしての、恐怖からの逃亡じゃない。
現状ではどうあっても勝てない、それを理解した上での意味のある逃亡だ。
あの時の私はただの獣だったけれど、今は違う。この腕は潰す為ではなく彼を抱き締める為に、この脚は踏み砕く為ではなく彼を追う為にもある。
「話を聞いてくれているのかな?」
うるさいなぁ……彼の事を考えている間に人間風情が話しかけないでよね。本当にこの通信端末というのは不愉快だ、これが彼にだけ繋がるならば素晴らしい機械だが。
繋がるのは私の大嫌いな人間なのだから、こんな物は消えてしまえばいいのに。
「君の言う彼が誰
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