暁 〜小説投稿サイト〜
ストライク・ザ・ブラッド 〜神なる名を持つ吸血鬼〜
観測者たちの宴篇
25.神意の妹
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の腹部目掛けて両手の掌底が放たれる。
 それは高温を放つ老人の腹部へと直撃する。そしてキリガ・ギリカは後方へと大きく吹き飛ばされる。
 その攻撃は、魔力を込めた強烈な一撃だ。

「浅葱さん、逃げるよ」

 唖然とする浅葱に唯は当たり前のように走り出そうとする。

「ちょ、ちょっと、あなた一体なに者なの?」

「あたしは、ただの彩斗くんの妹だよ」

 無邪気な笑みを浮かべながら唯は走り出す。
 その後、浅葱たちは点検用のハシゴをよじ登って、マンホールの蓋を開けて地上に出る。

「このまま追っかけて……来ないわけないわよね」

 浅葱たちの後方で、路面のアスファルトが異臭とともに熔け落ちていく。そこから這い出してきたキリガ・ギリカだ。

「やってくれたな、娘……」

 憎々しげに歯を剥いて、老人が低い声を出す。ずるずると足を引きずりながら、浅葱たちの方へと近づいてくる。

「いいぞ……これだけ活きのいい獲物は久しぶりだ。“空隙の魔女”が魔力を失っていると聞かされて拍子抜けしていたが、貴様は儂が焼き尽くしに値する敵だ!」

 老人の右腕が高温の炎を噴き上げる。それを眺めて、浅葱は呟く。

「悪いけど、こっちはあんたのワガママにつき合ってられるほど、敬老精神に富んじゃいないのよね──モグワイ!」

『ククッ、ああ、どうにか間に合ったようだぜ──頼む』

命令受諾(アクセプト)

 人工知能の声に応えたのは、静かな声だった。
 声の主は、薄い水色の瞳を輝かせた人工生命体(ホムンクルス)の少女。彼女の背中から翼のように広がったのは、虹色に輝く巨大な腕だ。
 その巨大な腕がキリガ・ギリカを叩き伏せる。

「ぐはっ……!」

 ビルの壁に叩きつけられたキリガ・ギリカが、全身から鮮血を流す。そんな彼を眩いサーチライトが容赦なく照らし出す。
 顔を上げた老人が目にしたのは、人工生命体(ホムンクルス)の少女を体内に取り込んで出現した巨大なゴーレム。透明な筋肉の鎧に覆われた、人型の眷獣だ。
 眷獣の背後には、特区警備隊(アイランド・ガード)の機動部隊が、完全武装で布陣している。
 キーストーンゲートのEエントランス──特区警備隊(アイランド・ガード)主力部隊が常に待機している、|非常事態用の出撃ルートだ。
 浅葱はただ逃げ回っていたのではなくここにおびき寄せたのだ。

人工生命体(ホムンクルス)が……眷獣を操る……だと!?」

 信じられない、というようにキリガ・ギリカは首を振る。
 本来、人工生命体(ホムンクルス)が眷獣をその身に宿すことなどありえない。

「馬鹿な!」

 立ち上がったキリガ・ギリカが、灼熱の炎を撒き散らしながら、アスタルテへと殴りかかった
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