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ストライク・ザ・ブラッド 〜神なる名を持つ吸血鬼〜
観測者たちの宴篇
25.神意の妹
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厚さ約二十四センチ。材質は魔力付与した高強度鋼。吸血鬼の眷獣の攻撃に耐えるべく設計された隔壁は、無駄に頑丈だ。
「このまま諦めてくれればいいんだけど──」
浅葱はそう呟いて驚愕する。
分厚く頑丈な隔壁の表面が、淡くオレンジに発光していることに気づいたからだ。
キリガ・ギリカが操る超高温の炎が、隔壁を炙って熔かしている。
『まずいぜ、嬢ちゃん……予想よりも隔壁の消耗が激しい。温度が設計限界を超えてやがる』
「魔力付与に頼ったのが裏目に出たわね。物理的な熱量だけで押し切られるなんて……」
他人事のように冷静に分析する。
ギリカはおそらく魔術を使えない。召喚した炎精霊を霊力限とし、攻撃魔術を使うような器用な芸当はできないようだ。
「ママ……」
なにかを決意したような眼差しで、サナが浅葱を見上げてくる。まるで自分がここに残るから逃げろ、と浅葱に訴えかけているような表情だ。
まったく、と浅葱は息を吐いて、サナの小さな肩を抱いて不敵に笑ってみせる。
「大丈夫。あなたはあたしが絶対に護ってあげる──“魔族特区”育ちを舐めないでよね」
「そうだよ」
唯はサナの頭を軽く撫でながら言う。
「あたしもついてるから大丈夫だよ」
そう言って、唯は隔壁を正面に向かい立つ。右手を後ろに引き、左手を前に出して隔壁の方へと向けるその構えはどこかの武術のようなだ。
「浅葱さん、すぐに逃げれる準備をしておいてください」
浅葱の方を一切見ずに唯は一方的に告げる。
それは、彼女がギリカ・ギリカをどうにかするということなのだろう。
普通なら止めるとこだ。
だが、彼女は一度、攻撃を受け止めている。それがどんな方法を使ったかは知らない。
だが、今はその可能性にかけるしかない。
緒河彩斗の家族は実に不思議なものだ。母親の美鈴は、浅葱と同等以上のプログラマー。妹の唯は、精霊遣いの攻撃を受け止めた。
ここまでくると彩斗もなにかしらの能力を持っているんじゃないかと疑ってしまうくらいの不可思議さだ。
隔壁が完全に溶解する。ドロドロに熔けたシャッターを引き裂いて、赤熱した老人が姿を現した。
「どうした、娘ども、そこまでか──」
嗄れた声で、キリガ・ギリカが哄笑する。
「悪いけど、お年寄りはここでお寝んねしててね」
強く地面を蹴って唯が老人へと突っ込む。それに合わせて、キリガ・ギリカの右腕が高温の炎を吹き上げる。
このままでは、唯がやられる。そう思った瞬間だった。唯は前に出していた左手を後ろで引いていた右手の方へと持っていく。
「──
若虎
(
わかとら
)
!」
唯の叫びとともに溜め込まれていた両手を一気に前へと突き出し、赤熱した老人
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