ツンデレ
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は課題真っ白ですよ。
夏休み。来週帰省する寮組に合わせて本日は勉強会だ。
「じゃ、僕は問題ないよね?」
この間騒がれていたイケメンはにっこりと微笑んだ。
「―――――そうだね」
会いたいなと爆弾を落とした本人は、イケメンスマイルに顔が引きつっている。まあ、そりゃあそうだろう。
なんせ相手は入学以来学年トップを譲ってないやつだ。宿題なんて鼻歌まじりでできるんだろうし、だったら続きを話してもらう余裕もあるんだろう。
かくいう俺は、毎回ギリギリ上のクラスにしがみついているレベルだ。トップなんてとんでもない。
「ねえ、会いたいな、って。誰?」
笑顔を崩さずに尋ねる。黒髪が面白そうに揺れた。
「――答える必要を感じません」
無表情を崩さずになおも答えを言い渋る。茶髪が面倒くさそうに揺れた。
「ということは恋バナなんだね、了解」
悪戯っぽく目をクルリとさせて綺麗な黒髪をかきあげる。
「どんな子?かわいい?」
「どうして女子だって確定してるのさ」
「え、だって君はホモじゃないだろ?」
始まった修学旅行ネタ。俺はくぎを刺されてしまったので大人しく課題に戻った。
もはやイケメンを凌駕するほどの残念さを発揮しているやつの言葉を聞いていたら、茶髪の方が諦めたのか情報を追加してきた。
「美人で、ファッションセンスは皆無。出かけるときは兄さんにコーディネートしてもらってる」
へぇえ、ファッションセンス皆無か。俺の頭の中には自然とポッキーちゃんが思い浮かんでいた。茶色一色でまとめたあの格好。 ――いかんいかん、課題に集中…………分かるか、こんな問題。
集中力がかけらもない俺は、諦めて恋バナに加わることにした。
「なあ、その子がファッションセンス皆無って、どれくらいだよ」
軽く睨まれたのでひらひらと白紙の問題集をふってみせた。
茶色い髪を揺らして溜息をつくと、俺の質問に答えてくれた。
「茶髪のポニーテールにアニメの茶色いTシャツ。ここまではいいとしてもズボン、サンダルも茶色」
―――――あれ?
「ポニーテール、茶色――――ポッキーちゃん!?」
いや、まさかな。そんな偶然あるわけない。ないない、他人の空似だ。
「あ、そういえば。毎週少年誌を読みにコンビニ通ってるって言ってたな。まったく、菓子ひと箱で三十分も粘られちゃ迷惑だからやめろって言ってるのに………」
――――決定打きちゃったぁ………
どういうことだ。俺が気になってる子がこの大人しい奴の幼馴染みって!こんなハプニングいらないよ!?なんで俺の人生をもっと平穏無事にしてくれないのさ、もう夏休みの課題が終わらないのも神様のせいにしたくなるよ!
「ねえ、どうしたの?」
俺はイケメンが肩を揺さぶっているのにも応じず、考え込んだ。
「え、なになに?」
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