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【短編集】現実だってファンタジー
Mission・In・賽の河原 前編
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込んでいた自分や、今まで支えてくれた実力派が先に救われ、他の皆は計画に加担していたにもかかわらず置いていかれる。それを不条理だと怒るのだろう。
だから、だからなのだ皆よ。

「―――だからだ。俺は今まで全員でこの『”ゐ”の九十九区画』を『全員』で抜け出す策を練ってきた。その計画、今からやらなければ実現できないのなら、俺はやる!!」

声を張り上げて、二度目の宣言をした。そんな結末は認めないのだと、声高らかに宣言した。
俺達は仲間だから。
これが俺達の出来る最後の抵抗だから。

「俺はきっと、このまま何もしなくても地蔵に救済されてここを抜け出すことになるんだろう。だが―――それじゃ計画はどうなる!?みんなの期待を背負って綿密過ぎるほどに計画を立て、必死に駆けずり回った俺達の努力も、転生すれば全て無為になる!!それで本当に救済って言えるのか!?」

これが出来る精一杯。もう何もしなくとも救済されると聞いて、あからさまに喜色を浮かべたメンバーがいたのをリーダー少年は気付いていた。だが、この計画は全員が協力しなければ、全員は救われない。ここで素行の評価をひっくり返されるのを恐れた人間が何もしなければ、彼等はここから抜け出せる。但し計画はずっとずっと、何年も先に先延ばしになるだろう。

自分たちだけ助かって、皆は置いていく。それは許されるのか?
否、許されないのではなく「許せない」のだ。これで救済組を引きこめなければリーダー少年たちの青春とも呼べる戦いは、ここで幕を下ろす。と―――

「―――言えねえな、リーダー。それは、ああ。言えねえに決まってるだろうよ」

そう言ったのは、投石の名手である一人の少年だった。周囲の中では少し年長であり、最古参メンバーの一人だ。目をつぶって腕を組んだまま、不思議とよく通る力強い声だった。
組んだ腕をほどいて周囲を見渡したベテラン少年は、実働メンバーと作戦立案メンバーを見回した。

「お前らもそうだろう!?俺たちゃ望まない死を迎えて、こんな所に押し込まれた!それで救済される時もまた望まない結果を与えられるのか!?それはおい、すげえ惨めなことじゃないのかよ!!」
「ほんと、そうよね。勝手に救われたって嬉しくもなんともないわ。自由は自分の手で掴み乗ってこそ最高の美酒となるのよ」
「ぼ、僕は・・・・・・僕も惨めなのは嫌だ!!皆を置いて勝手に救われる終わり方なんて、そんなの救いじゃない!!幸せじゃないよ!!」
「よく言ったぁ!粋じゃねえよなそういう終わり方は!!」

―――仲間よ。同志よ。死してなお同じ時に存在する魂たちよ。その全てにリーダーは感謝した。俺達は終わってなどいない。地蔵菩薩の押し付けがましい一方的な救済など有り難くもない。
その勇ましい遠吠えはいつしか全ての子供たちに伝染し、一
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