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【短編集】現実だってファンタジー
Mission・In・賽の河原 前編
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内の反対意見が噴出した。

「えっ!?イキナリですかぁ!?」
「そんな・・・急ぎ過ぎだろう!」
「失敗したらどうするんです!!」
「こういう時こそ慎重に・・・」

「残念だが・・・・・・慎重に進める時間が無い。いや、無くなった」

少年とてこの作戦がいかに厳しいものであるかは知っている。だが、それでも急がなければいけないのだ。

「いいか、これが2日前に流れ着いた紙・・・日付が22日になっている。そしてこっちが今日・・・24日だ。今までに捨てられた資料と鬼の独り言、そしてカレンダーからも推測すると、今日は24日で間違いないだろう」
「ここじゃカレンダーも季節も無いから、日にちなんてどうでもいいじゃない」
「何月かはどうでもいい。でも日にちの方は良くないんだ。2日前の方の資料を読むぞ?」

避難の声を上げる少女と手で制し、読み上げる。

「『2日後の24日に、縁日帰りにそちらに参ります』・・・24日は地蔵菩薩の縁日だ。24日に祭祀(さいし)のために現世に行き、その帰りに賽の河原に寄るということだ。つまり、今日の
・・・・・・恐らく時間を考えると日が沈んだ頃にはこちらに来る気だ。祭りは夜まであるからな・・・」
「・・・それで、計画とそれと何の関係が?」
「・・・もう一枚を見てくれ」

23日、つまり昨日に流れ着いた紙を見た周囲があっ、と声を上げる。

「『以下に記載された子供たちは比的素行が良いため救済対象とする』・・・・・これ!ウチの計画立案と実働隊の腕利きばかりじゃないか!!」

計画立案担当は、指示だけして自分は遠くから観察する。つまり、反抗的な態度を取ることは少ない。そして実働部隊はその殆どがかなり古参の子供たちだ。長い事救済を受けていなかったことで「そろそろ救済を行ってもいいだろう」と地蔵菩薩に判断されてしまったのだろう。そして時期的に菩薩が来るのは―――今日の夜。もうあと一刻もすれば来てしまう可能性がある。

「なんてこったい!それじゃアレか?今すぐ実行しないと計画の要がいなくなっちまうってことか!?」
「それだけじゃない!これ、30〜40人は救済されることになってるから・・・大がかりな作戦をするのに人数が足りなくなるわよ!?」
「おい、リーダー!お前の名前も書かれてるじゃねえか!」

次々に上がる悲痛な叫び。楽をしてここを脱出したいと願う彼らにとってそれは余りにも過酷な現実だった。このままでは今までの悲願が、計画が水泡に帰してしまう。またのこの暗く寒い賽の河原で鬼に嫌がらせを受ける惨めな日々が待っている。転生の先の幸せが、遠のく。

皆の瞳に懐疑や嫉妬、絶望が混じるのをありありと感じた。これは彼らの精神に対する裏切りだ。高みに胡坐をかいて、計画や実験の名のもと手を汚さずに見物を決め
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