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【短編集】現実だってファンタジー
Mission・In・賽の河原 前編
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の少年がにやりと口角を釣りあげる。そう、彼らはそのシステムによって「報い」を受ける事になる。それこそが、彼らの計画だった。鬼の捨てたごみによって作られ石の下に隠されていた計画書を広げた少年は、計画の説明を始める前の確認を始める。

「いいか?まず鬼の巡回だ。日時計を作っておいたから時間は正確に測れる」

この日時計は積石ではなく、一見して並べられた石にしか見えないように設計しているため、鬼は不審に思っても壊しはしない。というか、賽の河原は常に暗いので差し込む光が太陽のそれなのか付きの明かりなのかは判然としない部分があるのだが、その辺は目をつむる。
この河原の年長者の数年にもわたる調べで判明したことなのだが、ここに住む鬼は河原の子供には手出しができず、積石にしか手を出さないようだ。鬼に対する敵対行為や妨害行為を敢行し続けた結果、そのような結論に至った。

河原の子供は重罪を犯した子供ではない。いわば不運不幸から来る事故、事件、病気などで命を終えてしまった子供だ。だから罪に報いを受けさせる鬼にとっては、子供に直接手を下すのは越権行為に当たる。地蔵菩薩と繋がりがある鬼たちは厳格なルールのもとに動いているのだ。

「鬼は半刻・・・おおよそ1時間程度で河原の一区画を一直線に見終わり、反対側の鬼の関所に辿り着く。そうして関所を経由して次々に区画を通りながら三途の川を一直線に下り、最後の関所に来たら休憩できる。そして・・・鬼は必ず半刻ごとに一人、上流の大関所から投入される。つまり鬼は半刻かけてこの『”ゐ”の九十九区画』の積石を壊す。それはいいな?」

周囲を見渡す少年に、周囲の少年少女がこくこく頷く。散々やられた嫌がらせだ。中にはその時の怒りを思い出して額に血管が浮き出ている者もいる。

これは絶妙な仕組みだ。というのも、この河原の子供たちの思い描く「完成した積石の塔」はどうやら三途の川の仕組みに一枚噛んでいる何者かによって決められているらしく、子供たちの頭に神通力のような方法で直接完成した形を刷り込まれるのだ。これによって子供たちはその完成に向けて石を積み立てるのだが、これが丁度半刻少しかかるようになっている。

鬼が通り過ぎてから必死で失敗せずに石を積んでも、ぎりぎりで完成に間に合わず、無念にも積石を壊される。そのようなシステムになっている。何度作業の効率化を図っても決して間に合わず、どうしても積み上げきれない。極々稀に、類稀なる親への献身で限界を突破して石を積み上げきる子供が存在するらしいが、そんな子供は本当に極稀である。今ここにいるメンバーの中にはそれほどの逸材はいない。

ちなみに、積み上げきった供養の塔は子供も鬼も決して崩してはいけない。もしも崩すとそれを崩した鬼、若しくは子供にその分の祟りが訪れてしまう。祟られると体調が急激
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