アラガミになった訳だが……どうしよう
8話
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のように噴出する。雷球の速度はそれ程ないようで回避は出来たのだが、後にはまるでクレーターのような着弾の跡が残った。
受けていた場合を想像して内心冷や汗をかいたが、そればかり考えるわけにはいかない。あれだけの雷撃を放ったせいかヴァジュラは若干隙を見せている、パイプから空気を解放して一気に距離を詰める。
左腕でヴァジュラの顔に突き破る、いつぞやのウロヴォロスと同じ目にあってもらおうか?
左腕を刃からコクーンメイデンの棘に変え、パイプからの空気の噴出と同時に引き抜く。ウロヴォロスの時とは違い顔の上半分が無くなったのだが、ヴァジュラは逃げることなく寧ろ怒りに任せて襲いかかってくる。だが、目にあたる部分のオラクル細胞が全滅したことで視力は完全に失われ、その鋭い前脚の爪は見当違いの方向に振るわれた。
しばらくはこのまま押し切れるだろうが、アラガミの再生力を侮ってはいけない。その証拠に不細工な赤いモザイク状態だったヴァジュラの顔は、既に粘土細工のライオンとでも言うべき不恰好ではあるものの形を取り戻しつつあるのだ。恐らく、もう2、3分もすれば元通りになるだろう。
先程の一撃は奇襲のような物で、向こうが油断していたという要素が大きい。となると、今の内にある程度ダメージを与えさせてもらおうか、左腕を刃から銃に変えてウロヴォロスの力を込めたレーザーをヴァジュラに雨霰の如く発射する……が、背中のマントが邪魔をして胴体に中々当たらない。仕方が無い、手足には十分なダメージが与えられたのだ、残りは自分の手で削り切るとしよう。
はっきり言って、この判断は大失敗だったというべきものだった。アラガミの再生力を侮っていた訳ではないが、ヴァジュラが何を模しているのかをもう少し理解していれば、奴の五感で最も気にしなければならないのは聴覚だったと気付いただろう。
奴は俺の正確な位置は特定出来ないが、どの程度の距離にいるのかを把握する位は容易い。つまり、俺が奴の攻撃範囲に入るまで耐えていたのだ。
それに気付かず飛び込んだ俺を襲ったのは周囲への無差別放電の嵐、おかげで一時的に視力と聴覚が機能しなくなり、体のオラクル細胞が麻痺し圧縮空気を放っての移動も出来なくなった。地を伝う振動から考えてヴァジュラは既に視力をある程度回復したようで、足取りこそ重いものの此方に真っ直ぐ向かってきている。一方此方は目も耳も機能せず、体の動きも鈍くなっておりマトモに動けない。
風を切る音が間近で耳に響く、全体重を込めて爪を振り下ろそうとしている。当たれば即死だな、避けようにも両目も両耳も死んでいるのだから
………………………もう一つの目で見ればいい。
俺は左腕の"目"でヴァジュラの無防備腹を確認し辛うじて一歩前に踏み出し右腕の刃を突き出す、突き刺せるほどは体が動かないがヴァジュラは自ら全体重で此方に向かって
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