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転生者の珍妙な冒険
俺らしいって、何?
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ても頼もしい。
「そういうことだ。ああやって昼夜襲ってくるんだよ。だから、俺はこの街を出ようと思う。」
実際、この一週間はその為の準備期間だった。装備もそろえた。

鎧は重いと邪魔だから胸当てだけ。同様の理由で兜もなし。
腕には特注の指貫グローブ。波紋を通さない柔らかい物質ってのに当てはまるのがヒヒイロカネしか無かったから金が大分飛んでった。
指の付け根の部分にはあのべム擬きの甲殻が使われてるから、そこにだけ波紋が通って攻撃が出来る。面で打つより点で打った方が攻撃力上がるらしいしな。
脚は膝の所にべム擬きの甲殻で作った膝当てを着けただけ。一応は靴はべム擬きの革靴だ。
で、武器としてさっきのクラッカーとワイヤー。ジョセフっぽい戦いもこれでOKって訳だ。

「成程。で、お前は態々俺にそれを言って別れの挨拶でもしに来たのか?」
「まさか。そんなんで俺が態々野郎の所になんざ行かんよ。用件ってのはな、先にサリナにも話してアイツにはOK貰ったんだが・・・。」
その代り、何故か名前で呼ぶように言われた。まぁ、そのくらいどうってことないけど。
それはさて置き、俺はオッサンに手を伸ばして言葉を繋ぐ。
「オッサン。いや、タルタス・フォードさん。俺の仲間になってくれ。アンタの強さは一緒に旅してて心強いよ。」
その願いに対するオッサンの所作。それは男の俺でも思わず惚れそうになるほど格好良かった。
「ふんっ!」
そう言って笑い、何も言わずに手を洗った後、俺の手を力強く握り返す。
曰く、この国では握手の前に手を洗うのは、敬意を払ったり友好を結ぶのに相応しい相手だと認めた証なんだとか。

自分を負かした相手を認め、敬意を払う。

そのオッサンの行動を見た時、俺は実力は関係なく、このオッサンにはまだまだ勝てないと悟ったんだ。


「これからよろしくな、オッサン。」
「こちらこそだ、坊主。」
「ふわぁぁ・・・、お2人ともカッコいいです・・・・!!」









この日、俺は仲間を得た。
ある意味、1週間経ってやっと、異世界で生活する目途が立ったと言ってもいいだろう。
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