第五章
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第五章
「人が集まらないですからね」
「どうするべきかな」
「ここはこうしますか」
ここで述べたこととは。
「待遇をよくして来る人間を誘い出しますか」
「待遇をか」
「はい、これでかなりましになるのでは?」
こうは言ってもあまり自信はないような声であった。
「少なくとも今よりは来るかと」
「少しはましになるというのか」
「ええ。ですから」
さらに言う大臣であった。
「ここはそれでいきますか?」
「やってみるか」
首相も他に考えられなかった。こうしてそれを閣議で言って議会で政策として提出してそれを通させた。軍に対して冷たい議員達を説得したり時には裏の手段を使って懐柔したりして何とか法案として通すことには成功した。そうしてその結果といえば。
「それで兵士はだ」
「百パーセントの充実にはなりませんでした」
まずはこう王に述べる首相だった。防衛大臣と二人で玉座の前に畏まっておりそのうえで上奏していた。
「残念ですが」
「それでどの程度になったのだ?」
「八割を超えました」
大臣がその割合について述べた。
「八割五分程度です」
「ではまずまずか」
王はその割合を聞いてそれで妥協する様な言葉を出した。
「それだけ充実すれば」
「そう言って頂けますか」
「流石に百パーセントは無理だろう」
王は現実的な視点を持っていた。そこから述べていた。
「流石にな」
「だからですか」
「それでよいとすべきだ」
確かな言葉で述べた。
「それでな」
「有り難き御言葉」
「至らない我々に」
「よい」
謝ろうとするのは制止した。
「それでだが」
「はい」
「それで、ですか」
「志願制のままだったな」
今度はその兵の招集方法について問うのだった。
「確かそうだったな」
「はい、そうです」
「結果としてこれしかありませんでした」
こう応える二人であった。
「残念なことに」
「やはり志願制でしか」
「今までのやり方でよく数が増えたな」
王はこのことを二人に対して問うのであった。
「またどうして増えたのだ?それを聞きたいのだが」
「まずはです」
「給料を増やしました」
二人は王のその問いに応えてまずはこのことを話してきた。
「今までの一・三倍にです」
「全ての階級の給料をです」
「給料をか」
「給料を増やしたら来る人間が増えると思いましたので」
「それでです」
だからだというのであった。まずはそれであった。
「そしてです」
「次にですが」
「うむ」
二人のその言葉をしっかりとした顔で聞く王であった。身を乗り出してこそいないが興味に満ちた顔で話を聞いているのであった。
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