第四章
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第四章
そうしてだった。さらに話されていくのだった。まだ徴兵制のデメリットが語られていく。
「今軍は高度な技術が必要ですし」
「それを身に着けている兵士を育てるにはです」
「徴兵制は駄目か」
「おまけにです」
徴兵制のデメリットはまだあった。
「徴兵制ですと義務で来るので嫌々ですから」
「その士気は」
「低いものです」
そうなのだった。士気も低いのだ。それも問題だった。
「ですから徴兵制は駄目です」
「止めておくべきです」
「そうか。それは駄目か」
ここで彼はいきなりこれを公の場で言わなくてよかったと思った。それがすぐに支持率に直結するからだ。それは彼にとって幸いであった。
だがこれでまた方法が消えた。首相はまた防衛大臣と話の場を持った。今度は食事をしながらであった。
食べているのはハンバーグだ。大きなハンバーグの上に見事な目玉焼きが置かれている。二人はそのハンバーグを食べながら話をしていた。
「このハンバーグは確か」
「ビスマルクが考え出したものです」
それだと述べる大臣だった。
「ビスマルクはかなりの健啖家でして」
「こうした食べ方も考え出したのか」
「卵が好きだったとのことなので」
それでこうしたハンバーグを考え出したというのである。ただ政治にだけ生きているのではなかったのである。それを考えればビスマルクも人間であったのだ。
「それでこのハンバーグを」
「成程、そうだったのか」
「ゆで卵を十数個食べたり他には牡蠣を百七十五個食べたことも」
「それはまた凄いな」
首相もこれには驚いた。
「そこまで食べることができたのか」
「身長二メートル近くで体重は百キロを超えていました」
堂々たる大男であったのだ。それがビスマルクであった。
「その彼が考え出したものです」
「それがこのハンバーグか」
「はい」
「そうか。そのビスマルクは軍を強くしたが」
そして政治の話になる。
「我が国はというとだ」
「その軍がですね」
「徴兵制も駄目か」
そしてまた言うのであった。
「結局のところ」
「ですね。となると」
「まさかな」
首相はここで過去に実際にあったとんでもないものを話に出してきたのであった。
「強制徴募はな」
「問題外ですよ」
案の定すぐに突っ込みを入れてきた大臣であった。
「そんなことしたら下手しなくても大騒ぎになりますよ」
「そうだな」
首相もそのことはよくわかっていた。かつての欧州、とりわけイギリス海軍ではよく街に歩いている頑健そうな男を飲み屋に連れて行って泥酔するまで飲ませてから連れ出したりいきなり殴り掛かって気絶させてから連行していってそれで兵隊にしていたのである。このとんでもなさは実際にあったことだから尚更恐ろしい。
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