最終章前半
第一話
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持っていた手帳に何かを書き込むと、そこから三ページ分切り取って文に手渡した。
「文、これをある人達に届けてほしい」
「これ……ああ、そういうことですか。分かりました。すぐに届けてきます」
文はそれだけ言い残すと、足早に部屋を去って行った。
「それでだ……鈴仙とにとりには別の頼みごとがあるんだ」
「別の……頼みごと?」
「ああ……俺達よりも先にでて、内部工作をしてきてほしい」
「ふっ……二人でですか!?」
驚きを隠せない二人に俊司はそうだと返す。確かに鈴仙は能力で敵の目を欺く事が出来るし、にとりは機械をハッキングするなどして内部工作をするのは容易い。だがどう考えてもリスクが高すぎる。
「いくらなんでも……二人はきついと思うなぁ」
「それは俺も分かってる、だから助っ人も頼んでるよ」
「助っ人……ですか?」
「ああ。当日になればわかるよ。それで内部工作の内容なんだけど、とりあえず俺達が突入できるチャンスを作ること。あと、捕虜を捕えてる施設の数を数えてほしいんだ」
俊司は今言った内容を書いたメモを手渡す。その後具体的な工作の例を伝えて、作戦を細かく決めていった。
「じゃあこれでよろしく」
「わかりました。ですが皆さんに伝えなくても良いのですか?」
「あとで伝えておく……というかもう聞いてるだろうな」
そう言って俊司が溜息をついた瞬間、彼の背後に見覚えのあるスキマが現れた。中から出てきたのはもちろん彼女だ。
「まったく……あの場で話せばいいじゃない」
「まあいいだろ紫。とりあえず今言った通りだ。どうせみんなにも聞こえるようにしてたんだろ?」
「あたりまえよ……別に異論はないわ。それで行きましょう」
「ああ、よろしく頼む」
俊司はそう言った後、自室へと帰っていった。
「さて……どうしようか」
自室に戻ってくるなり机の上にあるカードを出した俊司は、かれこれ二十分ほどカードとにらめっこをしていた。
地霊殿を出る際に白紙のスペルカードを二枚受け取っていた俊司だが、一枚だけ白紙のまま使っていないカードがあった。最終決戦に向けてカードの中身を決めようとしていたのだが、これというスペルカードが思い浮かばず頭を悩ませている。それに衣玖に言われた通り、得体のしれないスペルカードを作ることもできない。自分の身を余計に傷つけるだけだ。
「うーん……だめだ」
その場で横になり、今度は天井とにらめっこを始める俊司。なにもしゃべず時間だけが過ぎていた。
(悩み過ぎだぞ少年。老けるぞ)
「うわっ!?」
急に聞き覚えのある声が頭の中を駆け巡る。思わず飛び起きた俊司は、膝を思いっきり机にぶつけていた。
「いって……急すぎるよあんたはいつも……」
(毎度のことだろう……で、何か思いついたか)
「思いつくわけないですよ
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