第十二章 妖精達の休日
第三話 お友達
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消えた。
「「な―――あっ!?」」
もはや驚愕の声ではなく悲鳴を上げた竜騎士たちが、辺りを見渡すも、狙うべき相手の姿は見当たらない。額に浮かんだ汗が目に流れ込み、滲む視界を慌てて目を強く瞑り回復しようとする。目を瞑り、暗闇に一瞬陥る視界。視界が闇に染まり、他の感覚が鋭敏になる中。竜騎士の過敏となった感覚が一つの音を捉える。
―――この音、は―――ッ!?
二人の竜騎士の視線が真下へと向けられる。
そこには竜頭を天へと向け上昇する風竜の姿が。
「まさか―――あの一瞬で下降したとでも言うのかっ!!?」
そう―――あの一瞬。風竜を翔る“金色の騎士”―――セイバーは竜を一瞬で急下降させた。それは零戦の“木の葉落とし”にも似た機動によって成した技であったが。飛行機と竜。
あらゆるものが違う中、セイバーは士郎から聞いた話しだけで竜でもってそれを成したのである。超絶なまでの技量。もはや竜を操ると言うよりも、一つの生き物―――人竜一体とでも言えば良いのか。
驚愕から立ち直れないまま、竜騎士たちはセイバーの接近を許し。
「ッ―――フッ!」
交差する。
空に十字が描かれ。横の線を描いていた一つがその動きを揺らめかせた。
「―――ッ??!! うあああああああああああぁあぁぁぁぁぁ??!」
交差した一瞬。
刹那にも満たないその瞬間。
セイバーは右手に握ったデュランダルを振るい、竜騎士の握る手綱を正確に切り飛ばした。
身体を支える重要な一つが無くなった事により、竜騎士の身体が風竜から離れ空へと舞う。何が起きたか分からず竜騎士は湧き上がる恐怖のまま悲鳴を上げる。竜騎士はパニックになりながらも、何とか残った魔力を振り絞り“フライ”を使い墜落から逃れたが、騎乗していた風竜は逃げるようにその場から飛び去っていき、戦闘に加わることは不可能となった。
一瞬で味方がやられたのを目にした残った竜騎士は、慌てて手綱を引き逃げ始める。
「何―――だよあの女ッ!? 何であんな動きが出来るんだよっ!!」
「―――ただ、貴様の腕が未熟なだけだ」
頭上から涼やかな声が掛けられ、竜騎士が慌てて顔を上へと向ける。面貌から覗く目が大きく見開かれ、噛み締めた歯の隙間からか細い悲鳴が漏れた。
「ひ―――ぃ!?」
そこには風竜を背面飛行させたセイバーが、冷えた瞳で竜騎士を睨みつけていた。
慌てて逃げようと竜騎士が手綱を握る手に力を込めるが、風竜が進行方向を変更するよりもセイバーの動きは疾かった。
デュランダルを握る右手が閃いたと思った時には、既に竜騎士が握る手綱は切断され、竜騎士の身体は単身空を飛んでいた。
「そん―――なっ!?」
ぐるぐると身
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