第十二章 妖精達の休日
第三話 お友達
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あり、熟練した技が伺い知ることが出来た。
それを見ていた生徒たちの間からは感嘆のため息が漏れ、竜騎士である空中装甲騎士団からは押し殺した悲鳴のような声が漏れる。
「嘘だろ……風竜が命令を聞いた?」
「しかもあの動き……完璧に竜を操ってたぜ」
「今の……一体何者なんだ?」
竜騎士たちの戸惑いの声が上がる中、それに応えるように一人の女子生徒が口を開いた。視線は空へと向かう風竜を駆る者へと向けられている。
「金色の……騎士」
「“金色の騎士”?」
竜騎士の一人が顔を女子生徒へと向ける。
胸の前で祈るように手を組んだ女子生徒は、頬を上気させながら熱のこもった声を上げた。
「見慣れない格好をされていましたけれど、間違いありません。あの方は“金色の騎士”―――アルトリア・ペンドラゴン様です!」
歓声のような女子生徒の声に応じるように、空を駆ける風竜が高らかに咆哮を上げた。
三体の竜が空を踊っている。
その中に、特に目を引く竜が一体。その名の通り風と共に舞うように空を翔け抜ける風竜。緩やかに、踊るように空を行くその風竜の姿を見れば、それを追う残りの二体の風竜の動きはどうにも拙く見えてしまう。人に尋ねれば、誰もが先を行くものが熟練者で後を追うものが初心者だと言うだろう。しかし、事実は違う。舞うように空を飛ぶ風竜を翔る者こそが初心者であり、その後を追う者たちが熟練者であった。だが、その熟練者の操る竜の動きが素人に見える程、先行する騎士が駆る竜の動きは際立っていた。
「―――ッ! 糞ッ!? 何で当たらないっ!! なんで今のが避けれるんだッ!!」
「後ろに目でも付いてんのかあいつはっ!」
驚愕の声と言うよりも、悲鳴の声を上げる竜騎士。
先行する風竜の姿は、竜騎士として長年鍛えてきた自分たちでさえ見たこともない機動を取り、時折放つ風竜のブレスを避けていく。当たると確信した攻撃でさえも、自分たちには無理な、耐えることが不可能な機動で躱してしまう。二人の竜騎士は、自分たちの中の常識が音を立てて崩れていくのを感じると共に、自分たちが追う風竜を駆る者が想像を絶する技量の持ち主であることを強制的に理解させられる
手綱を握る手が汗で濡れ、竜騎士たちは、高度から気温の低下によるものではない寒気に身体を震わせた。
「この―――ちょこまかとッ!!」
「大人しく落ちろッ!」
竜騎士が風竜に命令しブレスを吐かせる。風竜のブレスが先行する風竜を襲う。風竜の進行方向に動きは見られない。このままブレスが当たるとの竜騎士の確信が―――。
「―――そろそろ終わらせましょう」
―――崩された。
前方を進行していた風竜の姿が、竜騎士たちの目から
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