第十二章 妖精達の休日
第三話 お友達
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となれば、ギーシュたちの有利となる。
「このままいけるか?」
士郎がそう呟いた時、視界の端に数名の空中装甲騎士団の団員が走り去る姿を捕らえた。
「―――ん?」
何やら胸騒ぎを覚えた士郎が立ち去る団員たちの後を視線で追ったが、既にその姿は観衆たちの向こうへと消えていた。
「逃げた? いや、しかしそれは……」
仮にも空中装甲騎士団の団員が、学生のにわか騎士を相手に背を向けるとは考えにくい。いくら当初接近戦で散々にやらたとしても、数の有利は絶対だ。魔力が切れたとしても、一気に襲いかかれば、まだ未熟なギーシュたちの武術の腕だ、捌ききれず潰せる可能性は大きい。それぐらい経験豊富な騎士団の団員が分からない筈がない。
にも関わらず逃げた?
士郎の脳裏に、なにかざらついた嫌な感覚が残る。
「シロウ」
考えに耽る士郎の意識を、セイバーの声が浮かび上がらせる。視線を隣に向けると、セイバーが視線を先程空中装甲騎士団の団員が駆けていった方向に向けていた。
「次は私が出ます」
「セイバー?」
一瞬セイバーの言うことが分からず、疑問を浮かべた士郎だったが、再度空中装甲騎士団の団員たちが駆けていった方向に顔を向けた時、頭の中で何かが繋がる感覚を得た。
「―――っ!? そうか!」
ギーシュたちと空中装甲騎士団の戦況。
団員たちが向かう方向。
セイバーの言葉。
それが示すのは、
「―――竜」
竜騎士が竜騎士たる所以。
騎獣である風竜である。
団員たちが向かった先にあるのは魔法学院の正門。その向こうには、彼ら空中装甲騎士団の拠点だ。そしてそこには彼らが乗る騎獣である風竜がいる。
団員たちは自分たちの騎獣を取りにいったのだ。
士郎がそう確信した時、正解とでも言うかのように、頭上から竜の咆哮が響いた。
突然の竜の咆哮に、ギーシュたちだけでなく観衆の生徒たちの動きも止まった。一斉に頭上を仰ぎ見るギーシュたちの目に、羽ばたきながら地面へと着地する風竜の姿が映る。
その数三。
背に騎士を乗せた鎧を身に纏った竜が三体、空からギーシュたちの前へと降り立った。
―――ッギャアアアォォッ!!
竜が吠え、ビリビリと周囲の大気が震える。
圧倒的な力の存在を前にして、ギーシュたちの身体が本能からピタリと動きを止めた。風竜の上に跨る騎士の面貌から覗く口元が、意地悪く歪む。風竜の翼が大きく翻る。振るわれる先にはギーシュたちの姿が。当たればただでは済まない。反射的に身構えるギーシ
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