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剣の丘に花は咲く 
第十二章 妖精達の休日
第三話 お友達
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るように大きく体勢を崩してしまう。つんのめるように前へ出た騎士に向かって、レイナールは軽く開いた左手の掌を突き出した。
 甲冑で覆われた腹に拳を打ち込もうとするレイナールの姿を目の端に収めた騎士の目元が、馬鹿にしたように歪む。 

「ぶっ―――ほ」

 しかしそれは、波のように身体に広がる衝撃が体内に駆け巡ることで苦悶による歪みへと取って代わられた。
 踏ん張ることも出来ず地面へと転がり倒れた騎士は、悲鳴も上げれない様子で打たれた腹を両手で抑えながらゴロゴロと辺りを転げまわり始める。一体何が起きたか理解出来ず呆然と目を見張る騎士たち。そして、そんな隙を見逃す程ギーシュたちは甘くはなかった。
 マリコルヌがその体格からは考えられない速度で一直線に進み、その終点に立っていた騎士を弾き飛ばす。
 ギムリが両腕を風車のように回しながら騎士たちを地面に叩きつけ、吹き飛ばしていく。
 レイナールが殴りかかってくる者を受け流しては投げ飛ばし、突き倒してまわる。
 ギーシュは騎士たちから散発的に放たれる魔法を五体の戦乙女の盾により防がせ、自身は錬金を使って、騎士たちの足元を泥濘に変えたり等してその動きを鈍らせていた。
 互いの距離を一定に保ちながらも互いの隙を補いながら連携して戦うギーシュたちは、明らかに素人のそれではなく、次第に空中装甲騎士団(ルフトパンツァーリッター)の顔色に焦りの色が浮かび始める。
 四対二十と当初圧倒的されて終わりだろうと思われた戦いは、観衆たちの予想を大きく覆してギーシュたちが優勢に傾き始めていく。
 確かに放たれる魔法の量や質からして正規の騎士団である空中装甲騎士団(ルフトパンツァーリッター)に大きく劣っているが、見たこともない奇妙な動きやそこから繰り出される突きや蹴りに対処する事が出来ず、騎士たちは次第にその確実に数を減らしていた。また、空中装甲騎士団(ルフトパンツァーリッター)は竜騎士であるゆえに、その力を十全に出すには竜に跨ってあればこそである。だが、騎士たちは学生のにわか騎士相手に竜を使えるか、という理由から誰一人として竜を呼ぶことなく戦い始めた。その結果、竜に乗らなければ重石でしかない鎧を着た上で、更には不慣れな地上戦の接近戦を戦う事になった団員たちは、士郎による鬼のシゴキにより徹底的に近接格闘を叩き込まれたギーシュたち相手に苦戦を強いられることになった。
 予想外のギーシュたちの健闘に、観客の生徒たちから声援が上がり始める。
 ギーシュたちへの声援が上がり、ますますその動きが鋭く速くなり空中装甲騎士団(ルフトパンツァーリッター)を押し始めていく。
 黄色い歓声や野太い怒声やらが響き渡る中、戦場の中心から少し外れた位置でそれを眺めていた士郎の横に、セイバーが進み出た。

「彼らが使っている|技
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