第十二章 妖精達の休日
第三話 お友達
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かって振り返った。
「でも、きっとシロウさんが助けてくれるって信じていましたから、だから、飛び出せたんだと思います」
「信じてくれるのは嬉しいが、こんな無茶はもうやめてくれよ」
「……善処します」
「……本当に頼むぞ」
目を細めて笑うティファニアに、士郎は苦笑を深めながらも笑い返す。
ティファニアの傍に寄った士郎は、ティファニアの髪に掛かった土埃を軽く払うと、頭に置いた手をゆっくりと動かし始めた。
「……無事で良かった」
「ありがとうございます」
照れたように目を伏せながら小さく感謝の言葉を口にしたティファニアに、士郎は頭を撫でていた手をピタリと止めると、突然力を込めてガシガシと強く撫で始めた。
「あ、あれ? いた?! いたたた、痛いですシロウさんっ」
「痛くしているんだ。ほらっ、もう本当にこんな無茶はやめろよ」
ぽんっ、と最後に頭を軽く叩いてティファニアの頭を解放する士郎。ティファニアは乱れた髪を手櫛で整えながら、少し涙目になった目で士郎を見上げた。
「う〜……はい……たぶん」
「ティ・ファ・ニ・ア」
「わっ、わ、う、嘘です、しません、もうしませんっ!」
ぼそりと小さく呟いた最後の言葉を耳にした士郎が迫ると、ティファニアはわたわたと手を振りながら後ろに下がった。
にじり寄る士郎を前に、後ずさりするティファニアの背中に、オドオドとした怯えを含んだ声が掛かった。
「あ、あの」
「え?」
背中から聞こえた声に、ティファニアが振り返る。
振り返った先には、視線をうろうろと泳がしながらも、時折ちらちらとティファニアを見るベアトリスの姿があった。ベアトリスはティファニアが振り返ったのを見ると、強く一度目を瞑り開くと同時に口を開いた。
「み、ミス・ウエストウッド。ど、どうしてわ、わたしを助けようとしたの?」
何が怖いのか、身体を震わせ怯えた様子を見せながら、上目遣いでティファニアを見つめるベアトリス。その姿はまるで、悪戯をしたことがバレてしまい、母親の前に引きずり出された子供のようであった。ぷるぷると身体を震わせるベアトリスの姿を見つめていたティファニアは、細く白い指先をあご先に当てると、小さく小首を傾げて考え込み始める。
目を閉じ眉の間に皺を寄せながらうんうんと低い声で唸っていたティファニアだったが、パチリと目を開くと困ったように笑いながら右手の指で頬をかいた。
「わかりません。気付いていたら飛び出していました」
「―――っ」
ティファニアの答えにベアトリスは息を飲んだ。
胸が苦しくなり、目の奥が熱く潤み始めた。
溢れそうになる何かを歯を噛み締め耐えると、腹の底から絞り出すように声を漏らす。
「……わたしは……あなたを学院
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