第十二章 妖精達の休日
第三話 お友達
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からなのか……。
ただ、途方もなく困難であろう“正義の味方”と言う夢を目指す彼の姿に尊敬を抱いたのか……。
……逆に、ただ自分よりも愚かな夢を抱く彼を思い、暗い安堵を抱いただけなのか……。
でも、確かな事が一つだけあります。
それは、わたしがあなたに救われたと言うこと。
決して忘れる事の出来ない過去の悪夢が襲いかかった時、闇からわたしを助け出してくれる明かりをあなたがくれたこと。
そして、彼女と出会ってから暫らく経ち、あなたと出会いました。
彼女と同じように、森の中で瀕死のあなたと出会いました。
あなたは彼女の言う通りの人でした。
ハーフエルフのわたしに対し、普通の女の子のように接してくれて。
あなたはきっと、知らないでしょうね。
わたしが、本当にどれだけ救われたか……。
あなたに、どれだけの勇気をもらったのか……。
どれほど、わたしがあなたを信じているのかなんて。
だから、わたしは前へと進んでいける。
あなたに救われたから。
あなたに勇気をもらったから。
あなたを信じているから。
だから、暗い過去を背に、わたしは勇気を振り絞り―――前へと進んでいける。
―――笑って、いられます。
空から風竜が迫り誰もが動けない中、ただ一人素早い動きで走り出した人影があった。
必死に腕を振り、前へ、前へと進む一人の少女。
金の髪を揺らし、歯を食いしばり迫る脅威を前に立ちすくむ少女の下へ駆け寄る。
誰も彼も、他人の事も、自分の事さえも頭から消えている時、一人少女だけが自分じゃない人の事を思い、その人の為に走っていた。
風竜が地面へと落ち、爆発音と共に地震のような地響きで地面が揺れ、土砂が舞い土煙が辺り一面を覆う。
地面を大きく抉り削りながら風竜が迫り、後を追うように土煙が舞い起こる。
震える地面を蹴り、必死に手を伸ばす。
そして白い指先が、地揺れで地面に腰を落とした少女の身体に―――届いた。
「―――え?」
力なく、腰が抜け地面に尻餅着いたベアトリスが肩に触れた指先の感触に導かれるように顔を横に向けると、そこには必死な形相で自分の肩を掴むティファニアの姿があった。
「あ―――なた?」
「―――ッ!」
ベアトリスが予想外の人物の姿に驚きの声を上げるが、ティファニアはそれに応える事なくベアトリスに抱きついた。
「―――なっえ、あ」
突然の行動に混乱し、形にならない言葉がベアトリスの口から漏れた。
腕?
掴まれた?
叩かれる?
痛い?
苦しい?
柔らかい?
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