第十二章 妖精達の休日
第三話 お友達
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し、杖を未だキメ顔でポーズを取るマリコルヌに向けようとする。しかし、一人の騎士が、横合いから覆いかぶさるように襲いかかってきた影に轟音と共に地面に叩きつけられた事で再度動きを止めてしまう。
鉄板を金槌で叩きつけたかのような鈍い金属音に、一瞬身体を竦ませた騎士たちが、慌てて顔を向けると、そこには背の高い男の姿があった。
「っふ〜〜……おいマリコルヌ。油断しすぎだぞ」
両腕を大きく伸ばし、伸ばした先の手の平を開いたギムリが、腰を落としながら未だキメ顔でポーズを取っているマリコルヌに苦笑を向けた。
「もう一人―――っ、まさか」
マリコルヌとギムリが無事な様子に、騎士たちが先程自分たちが魔法を放った先に顔を向けると、そこには横一列に並んで盾を構える五体の青銅の戦乙女の姿があった。五体の戦乙女は、身の丈程ある巨大な盾を騎士団に向けて構えている。戦乙女が持つ盾は、縦横だけでなくその厚みもまた並ではなく、自重により盾が地面に深くめり込んでいることからも、その盾の重量と頑強さが生半可なものではない事が伺いしれた。
機動性は絶望的であるが、防御の面では並外れた力を見せる戦乙女の背後には、ギムリやマリコルヌと同様に無傷の腕組みをしたギーシュとレイナールがいた。
「全く皆先走りし過ぎだよ。もう少し作戦とか立てないと―――ねっ!!」
やれやれと頭を掻きながら戦乙女の前に進み出たレイナールは、メガネのブリッジを指先で押し上げ位置を正し、軽く首を回すと一直線に騎士団に向かって走り出した。
「―――ッ! な、こいつっ!?」
慌てて杖をレイナールに向け魔法を放つ騎士たち。だが、魔法が放たれる直前に地面を蹴ったレイナールの身体は既に宙にあり、騎士たちの放った魔法は一つも当たる事なく足元を通りすぎていった。魔法を用いず純粋な体術を持って跳躍したレイナールは、そのまま騎士たちの眼前へと降り立った。
「この―――」
再度レイナールに杖を向け、魔法を放とうとする騎士たちだったが、それよりも早くレイナールは杖を振り炎を生み出す。眼前に現れた炎に、騎士たちが身体を強ばらせた。刹那生まれた隙を見逃さず、レイナールはファイアー・ボールを騎士たちに向けて放つ。炎の球が弾け、二人の騎士が炎と共に吹き飛ばされる。
「餓鬼がっ!! いい気になるなっ!」
間近にいた騎士の一人が、手甲で覆われた手を振りかぶり、レイナールの頭めがけて振り下ろした。
「―――っふ」
頭上から襲い来る金槌のような拳。しかし、レイナールは慌てることなく小さく鋭く息を吐き出すと、腰を落とし右腕を大きく円を描くように動かした。レイナールの手と騎士の手甲が接触する。騎士はレイナールの右手ごと叩きつけようと力を込めるが、円を描く軌跡に導かれ
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