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IS 〈インフィニット・ストラトス〉 〜運命の先へ〜
第2話 「記憶の欠片」
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わず捨て去り、大切な弟と生徒の安全を他人に委ねるその覚悟は、零の決心をさらに強固なものにした。
「・・・まったく凄い人ですよ、貴女は。」
そう言った零の瞳には強い決意が窺えた。彼は胸を張って宣言した。千冬の強さを、彼女の愛情を称えながら。
「全力を以て2人をお守りしますよ、千冬さん。任せてください。」
「・・・ふん。学校では織斑先生と呼べ。」
「はーい。では、失礼します。」
軽い返事をして零は部屋から去った。その背中を千冬と真耶は見送っていた。
「良い子ですね、彼。」
「ああ、そうだな。」
淡白な返事を返した千冬はポツリと呟く。その呟きが真耶に聞こえることはなかった。
「変わらんな、アイツは・・・。」
「ハァ・・・、ハァ・・・。」
額に脂汗を浮かべた零は、先程から止む気配を見せない頭痛に耐えかねて歩みを止めた。壁に背を預けて深呼吸をする。
彼からすれば、脳を内側から小突かれるような鈍痛はこの際問題ではなかった。これは彼の脳が失った記憶を取り戻そうとして足掻く兆候だった。
「織斑 千冬、ね・・・。」
彼女の名前を、彼女の面影を、彼の見た全てを彼は記憶の欠片を心に刻みつける。もう二度と、忘れることのないように。
「俺は何者なんだろうな・・・?」
頭痛が和らいだことを確認した彼は再び廊下を歩き出す。彼の小さな呟きは誰にも届くことはなく、校舎の窓から覗く青空に消えていった。
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