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IS 〈インフィニット・ストラトス〉 〜運命の先へ〜
第2話 「記憶の欠片」
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教室を出ていく。その迫力に押されたか、それを阻む生徒は一人もいない。その後ろ姿を見送った零は小さくため息を吐いた。
「面倒な奴らだな・・・。」
「全くだ。先が思いやられる。」
突然聞こえた声に、それでも零は動じない。彼は傍に立つその存在に気づいていたから。彼は声の主・・・織斑 千冬とその傍らに寄り添うように立つ山田 真耶の方を向く。
「話がある。一緒に来い。」
千冬はそれだけ言うとさっさと歩いていってしまった。身に覚えのありすぎる彼は真耶と共に黙って千冬の後を追う。相変わらず面倒だなぁと思いながら。
「ここに連れてこられた理由は分かっているな?」
職員室に隣接する小さな部屋。高級そうなソファーやテーブルが置かれ、防音措置が施された応接室という名のスタイリッシュな尋問部屋。零はその部屋でソファーにふんぞり返りながら、千冬と真耶の2人と対峙していた。
「愚問ですね。」
口調こそ淡々としているが、千冬と零の間には形容できない迫力が感じられる。居心地悪そうな真耶を無視して、千冬は無表情のまま質問を続ける。
「束は今何処で何をしている?」
「答えられると思ってるんですか?」
零の方も仏頂面で応対する。しかし、千冬は零の冷淡な対応を気にしなかった。始めから答えなど期待していない、そう言いたげな態度である。
「お前は何故ここに来た?束の差し金なのだろう?」
先程の質問と違い、口調も視線も答えを促していた。返答次第ではただでは済まさない、千冬の態度がそう告げていた。
「・・・束さんから織斑 一夏、篠ノ之 箒両名の護衛を頼まれました。」
「護衛だと?あの束が?」
零の答えに千冬が珍しく驚愕を露にする。千冬は束のことをよく知っている。平素自分の興味本位でしか動こうとしない束がこのような気配りをすることに彼女は違和感しか感じなかったのだ。
「俺自身興味があったのも確かですけどね。」
「・・・そうか。」
千冬はそう言った後、立ち上がって深々と礼をした。予想だにしなかった事態に今度は零と真耶が驚いた。天下の世界最強が頭を下げる、それがどれだけ畏れ多いことかは千冬の実力を知る2人にはよく分かる。
「ちょっ、ブリュンヒルデともあろう人が何を・・・」
「ブリュンヒルデとしてではない。」
頭を下げたまま千冬は口を開く。戸惑った零が真耶を一瞥すると、真耶は既に千冬の意図を汲み取ったようでニッコリと微笑んでいた。
「一人の教師として、一人の姉として、篠ノ之と一夏を、よろしく頼む。」
その言葉を、一夏という呼称を聞いて零は目を見開いた。彼にとってここまで温かく大きな愛情を感じたのは束に拾われて以来だった。それ故に感じた、千冬の大きな覚悟。自分の矜持を形振り構
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