眷属、集めます
第23話
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黒の夫婦剣を精製する。そして、アーチャーの記録をその身に宿す。
「全力で来ると良い」
無防備に立ち、攻撃を誘う。斬り掛かってくる二人の聖剣を流し、反らし、弾く。破壊の聖剣を受ければこちらの剣が砕かれるのは確定している。擬態の聖剣を受ければそこから形を変えて斬られる。ならば、流して反らして弾いてリズムを覚える。
どれほど続けたのかは分からないけど、服の至る所が小さく破れて血に染まっている。傷の方は既に塞がっているけど、それだけの攻撃を掠らせてしまったと言う事だ。だが、それだけの価値はある。既に二人のリズムは身体に刻んだ。ここからが本番だ。
わざと攻撃しやすい位置に隙を作り、そこを突いてきた攻撃にカウンターを合わせる。驚いてバランスを崩す二人に畳み掛ける。わざと隙を作り、カウンターを合わせてリズムを崩し、少しずつ消耗させていく。機械的に作業を繰り返し、二人の戦う意思を削っていく。そして完全に消耗しきった所でその首に剣を突きつける。
「はい、それじゃあ問題点の洗い出しを各自でしておいてね」
夫婦剣を互いに折って消滅させる。
「これが僕の接近戦の強さだよ。イッセー君とは真逆の戦いだから、真似はしない方が良いよ。というか、出来ないと思うけど」
「ああ、うん、オレには無理そうだけど、接近戦も十分強いじゃねえかよ!?」
「強いんじゃないよ、巧いだけだよ。今の僕の戦いを見て何か感じた事はないかい?」
「えっ?そうだな、こうなんて言えば良いのか分からないけど、なんだろう、違和感があるはずなのに何がおかしいのかが分からない。何かがおかしいはずなのに」
「その違和感の正体が僕の接近戦の強さの秘密です。さて、これで分かっただろうけど僕がイッセー君を鍛えることが出来ない理由の説明にはなったでしょ?」
「だけど、イリナとゼノヴィアは鍛えれたんだろう?」
「あれは聖剣の力の引き出し方とエクソシストとしての基本の術を教えて、あとはライザー様とのレーティングゲームの前に行った合宿の時に戦ったページモンスターと戦わせたりしただけですから。というか、僕に弟子入りするよりドライグに直接鍛え方を教わった方が良いんじゃないですか?」
「もちろんドライグにも手伝ってもらってるんだけど、相手が居なくて」
「まあ、ルゥが暇な時にページモンスターと戦うぐらいならしても構いませんし、この訓練場も使って貰って構いませんけど、研究室とか地上部分のプライベート部分には入らないでくださいよ。特に研究室と資料室と立ち入り禁止区画は絶対です。立ち入った場合、イッセー君でも殺しますから」
宣言通り、イッセー君が許可をしていない場所に足を踏み入れれば殺します。そうしなければ『断罪の剣』の中立性が保たれませんから。
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