暁 〜小説投稿サイト〜
SAO〜刹那の幻影〜
第三話
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受けに回るのは面白くない。臨場感あるちぎっては投げちぎっては投げを楽しみたいのだ。
 という二つの条件を考えれば、おのずとクリティカルを狙いやすいという、短剣や海賊刀やらに絞れてはくるのだが、

「……いい加減決めてくれないかなあ。かれこれ十分もたったけど、機動力重視ならダガーでいいじゃん。合わなかったら後で変えればいいし……早くしないと狩場混んじゃうよ?」

 俺はいまだに、時間を浪費することしかできていない。
 シーラの後半の一言の意味に心の中でガッツポーズを入れてから、ついで湧いてきたむしゃくしゃに頭を掻きむしる。が、もちろんそれで脳が活性化するなんてこともあるわけがなく、むしろ余計にいらいらしながら俺はつい、その矛先を、つまらなそうに腕を組むシーラに向けてしまった。

「ほっとけ、俺は最初の装備は慎重に選びたい派なんだよ。それに、そんなに急ぐなら一人なりなんなりで行けばいいだろ」

 叫んでしまってから内心であっと思う。が、時すでに遅く、シーラは一瞬にやりと笑うとすぐさま俺に背を向け、ため息混じりに言った。

「ああ、そういえばそうだね……そういうことなら先に行ってるよ。何かあったらメッセージ飛ばせばいいしね」

「あ……いや……その……」

 まずい。非常にまずい。
 何がまずいって、別に、女の子がいかにも怒ってますというふうに俺に背を向けているこの現状のことではない。ましてや、やたらと人をからかうことが好きなこの女の子の扱い方に迷ったわけでも。
 俺がまずいと言っているのは後、テンションが上がったシーラに冷水をぶっかけた後のこと、極々低確率ではあるが、冗談であるはずのまずいの権化、『先に行ってるよ』が実際に実行され、俺が一人取り残されてしまう可能性が出てきてしまったということなのである。
 ……え?違うよ?別に『ウサギは寂しいと死んじゃうんだ!』とか言う気は全くないよ?――ていうかアレ迷信なんだが――そうではなく、俺にはシーラから離れるわけにはいかないちゃんとした理由があるのだ。
 まず、思い出してほしい。俺とシーラが最初に会った時、俺は何をしたのか、どうなったのか。そしてもう一つ、なぜ俺の一コル硬貨は、すさまじい縦回転を強いられた挙句、下水の海にダイビングするはめになったのか。
 そう、俺は――

迷子なのだ

「ちょ、ちょいまった!決める!すぐ決めるから!」
 すさまじい速度でニューロンがスパークを繰り返した結果、最善策だと示された言葉を叫び、俺はその後真っ白になった頭で一番近くに並べられていた短剣を手に取った。直後にすっ飛んできた店員NPCに、「コレくれ!」の一言を浴びせかける。
 表情一つ変えずに精算を終えてくれたNPCが再び店の奥へと戻って行くのを、ぷすぷすと焼け焦げた思考回路で認識
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