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失われし記憶、追憶の日々【精霊使いの剣舞編】
第二十三話「多色の侵入者」
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戦闘の気配を感じたものでな。しかし一体何者だ……?」


 エリスを一蹴するほどの手練れ。尚且つ二重契約を交わしているとなると絞り出せる人物は限られてくるが、そのいずれも目の前のフードには合致しない。


 ――しかし二重契約とは、これまた厄介だな……。


 二重契約はその名の通り、二柱の精霊と契約を交わすことを差す。


 これの利点は複数の精霊を使役することで戦術の幅を広げることができるところにある。


 しかし、欠点として契約精霊同士が干渉し合い、本来の力を発揮できないケースが多い。


 最悪の場合、真逆の属性同士だと反発し合った反動が契約主へ返ることもある。


 デメリットが非常に大きい二重契約者であり、異なる属性の精霊をこうも御すとは……只者ではない。


「まさかあんたが来るとはな、リシャルト・ファルファー」


 フードの精霊使いが口を開いた。眉を潜める。


「俺に君のような怪しい知り合いはいないんだが」


「あんたが俺のことを知らなくても俺はあんたを知っている。あんたの名前は割かし有名なんだぜ? 俺と同じ男の精霊使い」


「俺と同じ、だと?」


 俺と同じ……まさか――。


 その言葉を聞いて戦慄する。俺以外に男の精霊使いがいるとしたら今は亡き魔王スライマンと、原作主人公のカゼハヤ・カミトの二人だけ。


 本来カミトが契約するはずだったエストと契約を果たし、またレイブン教室に編入した俺は今までカミトの役目を担っていたと思っていた。


 この世界は原作ではなく並行世界。すなわちカミトが存在しない世界だと、そう思っていたのだ。


 しかし、まさか……ここに来てカミトが登場するだと!?


 独り戦く俺を余所に目の前のカミト(仮)がフード付きの外套を脱ぐ。


 予期せぬ原作主人公との邂逅に、心の準備が出来ていない俺は――。


「……誰だお前はッ!!」


 思わず、そんな声を上げていた。


 褐色の肌に全身に刻まれた刺青。爛々と輝く紅い瞳。


 どこからどう見ても、カゼハヤ・カミトとは懸け離れた容姿をしていた。


「そんな……まさか、リシャルト以外に男の精霊使いが!?」


 驚愕の声を漏らすエリス。


 ふてぶてしい笑みを浮かべている男から濃厚な殺気が迸った。


「俺はジオ・インザーギ。俺が何者かは……その身で聞きなぁっ!」


 蛇のように蛇行しながら迫り来る男。無駄を省いたその動きは足音一つ生み出さず、間合いをとる隙を与えない。


「殺ァァァッ!」


「ちぃっ」


 下から掬い上げる剣撃をエストで受け止める。


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