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第四十三話 相互意識干渉
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の」
「いえ……見ていませんね」
もしかしたらさきほどの声の主だろうか、とも考えた紫苑だが何故かそれは違うと彼の中で断言できた。それもまた彼にとっては不思議な感覚であった。
「そう、ですか。ところで、どうして西園寺さんは背中を向けて話しているんです?」
「えっ、えっとその……何故か、は、裸になってしまって……その、恥ずかしいんです。それとももしかして……私の裸が見たいってことですか?」
「はぁ!? は、裸? いや、俺はそんな……って、なんじゃこりゃぁ!? 俺も裸……ってことはさっきの女の子と俺は裸で話していたのか! ぐあああぁぁ……」
突然悶え始めたらしい一夏を背中に感じながら、紫苑は逆に落ち着くことが出来た。
「お、落ち着いてください。それより、銀の福音は?」
「そ、そうだ。箒が!」
焦るような一夏の声に、どうやら自分が意識を失った間に状況は好転しなかったことを悟る。
「そう……ですか。では急いで戻らないといけませんね」
「はい! あの女の子に会って……うまく言えないんですけど自分の中で何かが変わった気がするんです」
「そうですか、実は私もなんですよ……今度こそ、大事なものを守り抜きましょう」
次第に意識が覚醒していくのを感じながら、紫苑はこの状況の大凡の予測をたてていた。
(これは……相互意識干渉だったのかな)
IS操縦者の間で稀に起こるとされる、潜在意識下での邂逅。ISコアネットワークを起こるこの現象は対象の本質が偽りなく掘り起こされる。それは遺伝子の……魂の邂逅と言っていい。だからこそ、紫苑は男の姿であった。
そしてもし彼が振り向き一目でも一夏のことを見ていれば、すぐにその異常に気づけただろう。
なぜならそこに立ち、一夏だと思って紫苑が会話していた相手は、かつて彼が初めて出会ったころの織斑千冬と瓜二つの顔だったのだから。
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