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第四十三話 相互意識干渉
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でまったく聞こえなくなっていた二人の声が聞こえてくる。既に零落白夜の刃が消えて、エネルギーが尽きかけているを露呈している。
この状況でまだ彼は……そんなことを言えるのか。
既に銀の福音は攻撃態勢に入り、その射線上には……箒さん!
しかもタイミングを計ったかのように彼女の刀はその輝きを失い霧散する。具現維持限界、つまりエネルギー切れ。最悪の事態だ。
間に合え……間に合えっ!
『箒ぃ!』
織斑君が箒さんを庇うように間に飛び込む。
二人ともエネルギーが切れている以上、攻撃をまともに受ければ下手をすれば死んでしまう。彼らを守るためには、僕が全て受けきるしかない。
『はぁぁぁっ!』
そのまま何とか間に合った僕は天照の背後のフィンで彼らを包み込むように守り、背中で銀の福音の一斉射撃を受け止めた。
『ぐ、うぅ』
なんとか持ちこたえたものの、その威力は凄まじくエネルギーの八割をもっていかれた。ここにたどり着くまで使っていたパッケージもこの攻撃で大破し、海へと落ちていく。
銀の福音にとっても、それはトドメの一撃に値するレベルのものだったらしく第二射には時間がかかるようで動きがない。しかもどういう訳か、胎児のように蹲ってしまっている。とはいえ、状況は最悪だ。
それに、まだ頭の中の警鐘は鳴り止まない。
その原因である一隻の船を一瞥すると、僕は天叢雲剣を伸ばしそれを貫いた。
『西園寺さん……っ! なんで!?』
『あな……たは、何をしたいんですか。はぁはぁ……だ、誰を守りたいんですか。以前にも聞きましたね、何のために戦っているのかと。あ、あなたの軽率な行動が篠ノ之さんとあなた自身を殺しかけた。いいえ、このまま彼女が日本へ到達すれば大事な人がさらに死ぬことになるかもしれない!』
突然船を沈めた僕に対して、織斑君が抗議の声をあげるが関係ない。
見ると、箒さんは攻撃の衝撃で意識を失っていた。外傷はないので、軽い脳震盪のようなものだろう。今は織斑君が彼女を支えている。
僕は少し怒っていた。彼の甘さに対してだけではない。彼の性格はある程度理解できていたのだから、こうなる可能性もあったのだから。でもそれに対して何も出来なかった僕自身に、何より腹立っていた。だから、これは八つ当たりのようなものかもしれない。
『っ! で、でも……』
『まったく、その女の言う通りだな、反吐が出る』
僕の言葉に対して、何かを言おうとした織斑君の声を遮るようにして誰かの言葉が聞こえてくる。それは身近な誰かの声によく似ている……でもその言葉はその誰かが口にするとは決して思えないものだった。
そして、その声と同時に眼下の船のあった位置から複数の何かが飛び出し、こちらに向けて一斉に光が降
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