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タキタロウ
第二章
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「魚拓の用意はしてあるんだよな」
「勿論」
 これにも胸を張って答えてみせた。
「当然だろ、約束なんだからな」
「ああ。しかしよ」
 ここでクラスメイトの一人がポツリと言うのであった。
「何だよ」
「いや、御前二回も馬鹿でかい魚に負けてるんだよな」
「ああ」
 そうなのだ。二回も糸を切られている。それが何よりの証拠であった。
「それってつまりは」
「ああ、そうだよな」
 他のクラスメイトもここで気付いたのだ。そのことに。
「つまりそれってな」
「やっぱりあの湖にいるんじゃないのか?」
「だからいるって言ってるだろ」
 拡樹にとっては何を今更といった感じであった。口を尖らせて皆に対して言った。
「絶対にな。だから魚拓を取ってやるんだよ」
「いや、いるんだったら」
「なあ」
 だが彼等の言いたいのはそこではなかったのだ。ここで拡樹と彼等の間にズレがあった。しかし拡樹はそれには気付かないのか構わなかった。

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