第四章
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第四章
「あの方はね」
「何かまた猫か犬を拾われると思いますが」
「それはもうわかっているわ」
既に読んでいるというのである。これはもう容易に想像がつくことであった。
「もうね」
「ではどうされますか」
「答えは出ているわよ。いいわ」
いいというのだった。
「もうね。それでいいわ」
「ではお嬢様にこのまま」
「けれど。まさかと思うけれど」
ここで不意にといった感じで表情を暗くさせもした美幸であった。そのうえで町田に対してさらに話すのだった。その怪訝な顔で。
「お嬢様はこの世の全部の野良猫や野良犬を育てたいって仰るのかしら」
「まさか」
「本当にまさかとは思うわ」
自分ではそれは断る美幸だった。
「けれど。あそこまで熱心だと」
「熱心ですか」
「そうよ。熱心なのよ」
こう話すのである。
「どうなるのかしら」
「その時は何としてもお止めするわ」
今度は強い決意の顔になった。その顔も見せるのだった。
「絶対にね」
「わかりました。ではその時は私も」
「ええ。それじゃあ頼むわ」
言いながらであった。二人は今も屋敷の周りの猫達を見ていた。この前と比べても増えている。その数を見てそうしながら話をしているのだった。
それからも猫も犬も増え続け猫は三十を越え犬は十匹に達しようとしていた。危惧を深めた美幸はある日町田を連れて家の大きな応接間で猫達に餌をやっている麻紀に声をかけた。彼女は赤絨毯の上にしゃがみ込んでそのうえで皿を一つ一つ出して猫達に餌をやっている。その彼女に対して声をかけたのだ。
「あの、お嬢様」
「宜しいでしょうか」
二人で主に声をかけた。
「少しお話したいことがあります」
「いいでしょうか」
「どうしたの?美幸さんだけじゃなくて町田さんまで」
麻紀は少しきょとんとなったような顔で二人を見上げて言った。
「何かあったの?お話って」
「この猫や犬達のことです」
「それです」
彼等はそれぞれ話すのだった。
「あの、まさかと思うのですが」
「まさか?」
「はい、この世の猫や犬達は全て」
「そうしたいわ」
麻紀はここで美幸が最も恐れていたことを言った。そう思われた。
「できるならね」
「できるならですか」
「ええ。できるなら」
しかしすぐに美幸が安心することを言うのだった。彼女はそれを聞いて内心ほっとしたできるなら、というのは明らかな否定の言葉だったからだ。
「できるならね」
「それではどうされるのですか?」
「そうです。一体」
「私ができる限りそうした猫や犬達を育てるわ」
こう言うのであった。
「猫や犬達を」
「そうですか。できる限りですか」
「私は神様じゃないわ」
それはよくわかっているようだった。麻紀にしても。
「
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